【あなたのターゲットは誰ですか?】プライシングで失敗している台湾のお店の実例
みなさんこんにちはapplemint lab 代表の佐藤です。
みなさんプライシングって相当悩みますよね?その気持ちはすごくわかります。僕も未だに明確な答えが出せていません😬
プライシングによってターゲットは変わります。高い値段を設定すれば、その値段を払える人がターゲットになり、その値段を払えない人はターゲットから外れます。例えば applemint ではウェブマーケティングの固定額みたいなのがあって、ある一定の金額以上お支払いできるお客様以外は必然とお断りしています。
とは言うものの、うちの固定額も別にそんなに高いわけではないですが…
別に安い価格で多くの顧客にサービスを提供する経営を間違っているとは思いません。一般に企業は高い値段で一部の顧客を相手にするか、リーズナブルな値段で多くの顧客を相手にするかのどちらかに振れます。
或いはポケモンGo や航空会社のように、一部お金を落としてくれるお客を相手にしつつ、もう一方のお客の値段を格安にするという戦略もあります😃
今日僕がお話ししたいのは、僕が台湾で見たとあるレストランのプライシングがどうしても解せなかった話です。当然お店の固有名詞は出しませんが、今回はプライシングについて結構踏み込んだお話をするので、絶対口外しないでくださいね!😭
※そもそも applemint lab のコンテンツは結構踏み込んだ話をするので口外禁止ですよ😎
台湾にある某レストランの価格にとても疑問を持った件
僕は台湾でこの前あるレストランの前を通りました。とても素敵な外装が印象的で、見るからに高級そうなレストランでした。
その後検索をするとやはり高級で、価格がとても高かったです。ディナーは1万元 (4万円) ほどして、ランチも7000元 (28,000円)という強気な値段でした🍽
レストランが然るべき値段でサービスを提供する事には大賛成なのですが、僕はこのプライシングにとても疑問を持ちました。なぜ疑問を持ったかご説明します。きっとみなさんのプライシングの参考になると思います😉
アンカリング効果
アンカリング効果って聞いたことありますか?人はある数字を聞いた後にその数字に行動が影響されるという効果です。
例えば「95」という数字を見せられた後にこのお椀はいくらすると思いますか?と聞かれた被験者と、「37」という数字を見せられた後にこのお椀はいくらすると思いますか?と同じ被験者に聞くと、「95」という数字を見せられた場合の方が、被験者はお椀の値段を高く答えるみたいな実例があります😭
これをアンカリングと言います。脳がある特定の数字に縛られて、その後の行動がこの数字に影響されるというやつです。
実は世の中はアンカリングだらけです。例えば一度大きな数字を見せてその後にディスカウントした数字を見せて安く錯覚させるみたいなのはアンカリングの作用を狙ってます。「通常価格58,000円が本日限り32,000円」なんて書いてあるととても安く見えますよね😲
このアンカリング効果は通常アンカーする数字(最初に見せる数字)と次に見せる数字の落差が大きいほど効果があります。しかしアンカーする数字をつりあげすぎると日本では景品表示法なんかに引っ掛かります。また、やりすぎると不誠実な印象を与えますのでご注意を😅
そもそもそういう不誠実なやり方は長期的に良くないと僕は個人的に思っています。
常連だけのお店はうまくいかない
ここで少しだけ話を変えて、ファッションインフルエンサーの MB さんが常連だけのお店ってなかなかうまくいかないみたいな話を共有させてください。後ほどプライシングの話に通じるのでお付き合いください。
MB さんいわく、服に興味がある人に服を売ることはさほど難しくはないのですが、服に興味がない人に服を売るのはかなり難しいと話してました。まーそうですよね。
僕もデジタルマーケティングに興味がある人に自分達のサービスを売るのはそこまで難しいと思っていませんが、デジタルマーケに興味がない人にサービスを売るのは難しいです。
ただ現実世界に目を向けると、ファッションでもサッカーでもなんでも、一般に「興味がない人の層」の方が多い場合が多いです。ファッションに興味がない人はファッションに興味がある人より多いでしょう。
ユニクロはファッションに興味がない人達を取り込んでいるから強いんです。
なので会社を成長させようと思ったら如何に自分達のサービスや商品に興味がない人を取り込んでいくかが重要になります。つまり、新規を取っていきましょう!というお話です。
ミシュラン2つ星 Raw のプライシング
さて話をプライシングに戻します。まず、冒頭でお話ししたレストランのプライシングの問題点はディナー10,000元でランチ7,000元なので、アンカリング効果が薄いです。みなさんが見てもランチの7,000元にお得感は一ミリも感じません。
せっかく10,000元という強気なディナープライスでアンカリングしたのに、ランチが7,000元だと結局、ランチは誰が行くの?って話になります。つまり新規が取れないんです。
高級レストランのプライシングは航空会社のプライシングを参考にするのが正しいと思っていて、例えるなら、ディナーはビジネスクラスやファーストクラスで、ランチはエコノミークラスのお客さんが正しいと思っています。
ランチのお客さんで新規を広げつつ、彼らにそのお店のディナーに憧れを持たせるというやり方です。実際、台湾で予約が一番難しいと言われいているミシュラン2つ星『RAW』のプライシングを見てみましょう。
- RAW のプライシング
ランチ:3750元nディナー:6,600元 + 10%のサービス費 = 7,000元ほど
『RAW』のオーナーの Andre さんは Netflix で映画化されたほどです。
どうですか?「あ、ランチだったら結構奮発すればミシュラン2つ星が食べれる!」って思ってしまいますよね?次にもう一つのお店の 7,000元ランチを見ると、「それだったら RAW に行きたい」って思ってしまいます。
これが今の所高級店の経営がうまくいくプライシングだと思っています。そして僕は過去に昼5,000元、夜8,000元にした高級日本食レストランが潰れた事例を知っています。冒頭でお話ししたお店はどうなるんでしょうね…
まとめ
最後に今回の話をまとめますね。
- プライシングする時はアンカーを意識する
※ただし過度なアンカリングは信頼を失うので、気を付ける - 高級店は航空会社やモバイルゲームのプライシングを参考にするといい(一部無料、一部課金 or 一部ファーストクラス、一部エコノミー)
- 高い価格はいいけど新規の開拓を忘れない
以上台湾からでした!