【台湾の政治とヤクザのつながり】台湾の不思議な政治を解説!

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

以前台湾の中部、台中で罷免された某議員の再投票がありました。国民党から立候補をしたのは「顏寬恒」という人物です。この顏寬恒氏の父親は「顏清標」といって、台中で何年にも渡って議員を勤めた人物です。

そしてこの顏清標氏はヤクザ関係者ということを台湾のほとんどの人が知っています。彼の wikipedia を見てみるとヤクザ関連の情報がわんさか出てきます😲

ただしよくよく考えると”誰が” ヤクザかというのは別にそんなに大した問題ではありません。例えば日本人の多くは山口組のトップが誰か知っています。

それよりもすごいのは台湾ではそんなヤクザの家の出の方が選挙に立候補できる事です。日本でヤクザの方が選挙に立候補するなんてなったらとんでもない論争が起きるでしょう。

leo

出来るか出来ないかは別として…

そこで今回のこのブログでは台湾ではなぜヤクザの方が選挙に立候補できるのか?という疑問に僕が知る範囲でお答えしたいと思います!

時代は李登輝時代まで遡る

みなさん李登輝氏はご存知ですか?彼は台湾の第4代の総統で台湾の民主化に大きく貢献した人物として知られています。2020年に彼が亡くなった際は、森前首相がコロナ渦にも関わらず李登輝氏を追悼するためわざわざ日本から台湾へ行きました。

wikipedia より

そんなヒーロー的な扱いを受ける李登輝氏ですが、実は結構黒い噂もあります。中国語で「ヤクザと政治と金」は「黑金政治」と言われますが、試しに「李登輝」「黑金政治」と検索をしてみてください。関連記事がいっぱい出てきます😂

ではなぜ Mr. Democracy (民主化の父) と呼ばれる李登輝氏には黒い政治の噂がつきまとうのでしょうか?

党内の影響力を維持するために地方の派閥と結託

李登輝氏が国民党を率いていた頃、党内では主流派と非主流派の争いがありました。李氏は自分の影響力を維持し、異なる政治信条を持つ者を排除するために積極的に地方の派閥や連合体を引き入れたと言われています。

leo

要するに地方の有力者から支持を集めようとしたということです。

そしてその当時地方で力を持っていたのはお寺を運営するような人たちでした。彼らの多くはヤクザでした。

知らない方のためにお話をすると、台湾ではお寺のある地域はヤクザが多いと言われています。その理由はヤクザがお寺を運営しているケースが多いためです。

昔の台湾ではお寺の周りには人がよく集まり、小さな経済圏ができていました。通常人が集まれば商売が始まります。そして商売が盛んになれば当然トラブルも増えます。

例えばお寺周辺で商売を始めようものなら、他にも同じ場所で商売をしたい人は必ずいるわけで、法律が確立されていなかった昔は出店場所を巡って争いがあった事は容易に想像できます。

現代ではトラブルが起きれば警察が駆けつけて処理をしてくれますが、昔の台湾は、警察はいてもいなくても同じようなものでした。こちらの記事によると、一昔前の台湾では警察は名前さえ書けば誰でも入れたそうです。

そんな警察が地元の秩序を守ってくれたかと言うとそうではありません。そのため昔の台湾では地元の人が集まる場所の秩序はヤクザの方々が守ってくれていたのです。その結果、人が集まるお寺の運営は自然とヤクザの方がするようになりました。

従って李登輝氏はヤクザの方に協力を仰いだというより、地方で力を持っている派閥の人たちに協力を仰いだ結果、その人たちがヤクザだったということです。

今では政治家がヤクザの方に協力を仰ぐなんて信じられないかもしれませんが、当時の李登輝氏は反対派を押し込めるために必要だったのでしょう。

実際彼が総統になった1990年頃の台湾は国民党の独裁政治で、言論が弾圧され李登輝氏が実現した民主化なんてもってのほかでした。この時代にどれだけ言論が弾圧されていたか知りたい人は、Netflix で『返校』を見てみてください。

leo

ちなみに『返校』が公開されたのは2019年末で、丁度総統選のキャンペーンの真っ只中でした。この映画をきっかけに民主主義や言論の自由の尊さに気づいた一部の人が民進党に投票をしたとも言われています。

あ、ちなみに李登輝氏は国民党です😂 民主化に反対する独裁政治の国民党の中で「台湾で選挙やるぞ!民主化するぞ!」なんて言ったらそりゃー国民党の人達は黙ってません😅

彼は目的を達成するためにヤクザの方の力を借りたと言えるでしょう。

なぜ今もヤクザの子どもが選挙に出れる!?

李登輝氏が地方の派閥に協力を求めて早 30年経ちました。驚きなのは 30年経ってもヤクザの出身と認識されている人が選挙に出れられることです。

この理由を探るとどうやら地元の人脈や協力者が影響しているということがわかりました。

例えば台中には『大甲鎮瀾宮』という大きなお寺があります。先日選挙に立候補した顔一家は1999年から現在に至るまでこのお寺の董事長 (代表/オーナー) を務めます。

前章でも述べましたが、お寺周りの経済とヤクザは大変深い関わりがあります。ヤクザが地元の秩序を守ってくれたおかげで安心して商売ができた地元の人達もいるため、彼らの支持者は未だに多くいます。

しかも李登輝氏が地方の有力者の力を借りたのはまだ30年ぐらい前の話です。つまり30-40年前にお寺にお世話になった方々すると、お寺を運営する顔家は感謝してもしきれないぐらいありがたい人なのです。

顔家がこうして今も選挙に毎度立候補できるのは地元の強いサポートがあるためと言われます。

いかがでしたか?

別に僕はヤクザの方々を肯定するつもりはないですが今回の調査を通じて台中の地元の人達が未だになぜ顔家を支持するのかわかりました。

もし僕も命の恩人がヤクザだったとき、相手がヤクザだからってその後向こうが協力を仰いだ時に突っぱねるのは難しいかもなーとか思って書いてました。

以上 applemint 代表佐藤からでした!