台湾における労働市場の空洞化

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。今日は元々コラムで出そうと思っていた記事をみなさんにご紹介したいと思います。

本当は台湾のメディアに書く予定だったのですが、止めた理由は、書く事で自分にとってあまりメリットがないと判断したためです。

それでも後日書くかもしれませんが、今の所書くのを止めてます。内容は以下です:

先日 X (旧Twitter) を見ていたら以下の投稿がありました。

https://x.com/kensuu/status/1720974764817461328?s=46&t=v3QXaRljyAvAKTg-v1uvcw

この投稿では一般人が、日本の有名なエンジェル投資家に対して、会社を1年以内に辞める人はなぜ1年で辞めるのか?1年で辞める人は会社にとってマイナスか?という相談をしました。

エンジェル投資家兼実業家の方は、1年以内で辞める人の原因を調べるのは難しいと返事をした上で、1年で辞める人はコストが大きく、暗に1年以内で辞める人の採用は避けられるならば避けた方がいいと返事しているように僕は感じました。

この投稿を見て個人的に面白いと思ったのは、日本の某企業の人事の方が1年以内に辞める人に対して、悩んでいるという事です。僕や僕の周りにいる台湾の会社経営者、及び総経理は1年以内に辞める人に対してもはや悩んでません(苦笑)

「あーしょうがないね。切り替えよう!」ぐらいな感じです。台湾で半年や1年で辞める社員に対していちいち悩んでいたら、多分精神が崩壊します(苦笑)ただし僕も台湾で経営を始めた当初は社員が辞める度に心が折れていました。今でもそれなりにショックではあります。

僕が台湾で経営して一番最初に驚いたのが台湾人の平均勤務年数です。面接で求職者の履歴書を見る度に、 8割以上の方が過去に会社を1年~2年で会社を辞めていて、むしろ一つの会社で 2年以上働いた経験のある方を探す方が難しかった事を今も鮮明に覚えています(今もそうです)。

実際僕も台湾で経営をしていて、今まで台湾人の方は大体1年~2年の間で辞職しています。もちろん僕の経営に問題はあると思いますが、他の人の話を聞くともはやこれは台湾人の国民性と捉えています。

では、この早期退職によって台湾で外国人として経営をしている僕は何を思っていて、どういう対策を立てているのか、という話をしたいと思います。

台湾の止められない悪循環

冒頭でお伝えしたとおり、台湾の若い方は早期退職する傾向にあり、Google で調べると色々な記事が出てきます。

以下の記事では新卒の75%が2年以内で辞めると書いてます。

遇就業冰河期!75%新鮮人待不到2年就離職...調查原因曝光

その他に台湾の人材サイト104の記事では25歳から30歳の方の平均勤続年数は1年7ヶ月と書いてあり、25歳未満は半年とも書かれています。

企業留不住年輕人的10個原因

僕や僕の周りの経営者は台湾人(特に20代)の離職は止められないと考え、同時に台湾人の Uber 化が進んでいると考えています。Uber 化とは会社に縛られるのではなく、好きな時間に仕事をして稼ぎたいと考えている人が増えているという事です。

こういう現象を目の前にした時、僕はどうしても3つの事を意識します:

  1. 若い人が入ってもすぐに辞めるので彼らが辞めても会社が回る環境を作る
  2. 若い人になるべくコストをかけない
  3. そもそも若い人を雇わない

僕が現在お取引をしているクライアントには元々アマゾンジャパンで勤めていた方がいますが、彼曰くアマゾンジャパンは離職者が出ても会社が回るように仕組み化が徹底されていたようです。さすが大企業ですね😀

ただしこの仕組み化は実際に行うとなると、とても難しいです。その結果、多くの企業はより簡単な #2 のコスト削減から行おうとします。

ではここで言うコスト削減とは何を指すのか?僕は多くの企業が人材採用後の教育コストを削減しようとする動きを度々見かけます。

例えば自社スタッフが新人を教育している間、会社はお金を儲けていないものの、新人と教育者の「給与」というコストが発生しています。また、教育するスタッフが、新人に教育をした結果仕事が終わらず残業をすると、残業代が会社にとってのコストになります。

もしも入社したスタッフが数年は会社に残り、会社が教育という投資をした結果、スタッフが将来的にリターンをもたらすのなら、会社は社員を教育しようとするでしょう。しかしスタッフが1~2年で辞めると、会社にとって教育の投資を回収できなくなります。

その結果、経営者は若い人へのトレーニングをなるべく抑えたいというマインドが働きます。そうすると今度は若いスタッフが企業の教育制度に不満を持ち、更に離職が加速します。

日本は終身雇用の名残もあり、新人がある程度会社に残る事を前提に、大企業などでは入社後充実した研修が待っています。一方で台湾では日本のようなトレーニングは稀です。この原因の一つに台湾の早期離職傾向があると考えています。

外注と台湾労働市場の空洞化

会社は人が辞めても動き続ける必要があります。しかし人に頼った経営をすると、会社は人が辞める毎に品質に影響します。そのため、如何に人に依存しない会社を作れるか?というのが会社経営の課題になります。

これは日本で会社を経営しても、アメリカで経営をしても同じだと思います。台湾に関して言うと、20代は確実に日本よりも離職率が高い傾向にあるため、なおさら属人性を排除する必要が出てきます。

ここで大事になるのが、外部のパートナーです。外部のパートナーと良い関係を築ければ、社員が辞めようとも仕事は回ります。

ただし外部のパートナーにお願いをすると、コストが高くなる事が度々あります。では、もしも外部のパートナーが安ければどうなるでしょうか?企業は正社員を雇うよりもトレーニングの必要がないコスパのいい外部パートナーを選ぶでしょう。

実際アメリカの外資系の企業はカスタマーサポートの業務をアメリカ国内の人ではなく、インドやフィリピンといった国に外注しているケースが多いです。こうした事例が出ると、労働が他国に奪われると考える人もいるかもしれません。

しかし先日「「為什麼日本人沒那麼愛來台灣觀光了?」一位旅台 10 年日本人的真心話」のコラムで書いたように、観光でもビジネスでも、人はコスパが良いものを選びます。

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