台湾の家具メーカー esaila の海外挑戦

こんにちは、applemint lab 代表の佐藤です😎

今日は僕の知り合いで台湾で家具メーカーを経営している Kenyon から聞いた家具メーカーのユニークな経営と台湾の家具事情についてお話をしています。

Kenyon はインドネシア生まれの華僑です。高校までインドネシアで育ち、その後台湾の大学でデザインを学び、卒業後はイギリスの大学院でデザインを学びました。イギリスの大学院を出た後にどうしても台湾に戻りたかった彼は、台湾に来て台湾で会社を設立してビザを取得し今に至ります。

現在は台中に住んでおり、その理由は台北がごちゃごちゃしていてあまり好きじゃないというのと、顧客の大半が海外なので台北にいる必要がないからです😃

僕が彼と知り合ったのは兄のおかげです。僕の兄は東京でギャラリーをしているのですが、彼の知り合いが台北の朋丁というギャラリーの運営をしていて、Kenyon は朋丁でお手伝いをしていた事から兄と知り合い、その後僕と知り合いになりました。

僕は今までずっと Kenyon はギャラリーを運営していると思っていたのですが、なんと最近になって彼が自分の家具メーカーを持っている事がわかり、彼に台湾での家具事情や家具販売について聞いたら面白かったのでシェアします😂

それではLet’s Go!

家具メーカーの3つの柱

みなさんは家具メーカーってどうやって生計を立てているか知ってますか?IKEA や無印のように有名ブランドであれば家具を製造して、製造原価に利益を乗せて売って十分勝負できるでしょう。しかし、中小企業だとそうは行かないでしょう。実際、台湾人の多くは家具を買うなら IKEA や無印かニトリあたりに行っていると思います。

僕は Kenyon と話すまでどうしても家具メーカーが台湾でうまくやっていけるイメージがありませんでした。でも彼と話す内にどうやらそうでもなさそうな事がわかりました。

その理由ですが、彼は家具メーカーとして3つの事をしていると僕に言ってくれました。

その1. 家具メーカーの運営

参考:https://esaila.com/

Kenyon は esaila という自身のブランドを持っています。名前の由来は台湾語の「エッサイ」(「可以」の意味)から来ているそうです。

これが一つ目の収入源です。家具メーカーが自分のブランドを持つのを理解するのは別に難しい事ではありません。

その2. 海外のデザイナーと積極的にコラボ

今回 Kenyon に話を聞いて、海外には家具のデザインをフリーランスでやる人が結構いる事がわかりました。家具メーカーは全部インハウスのデザイナーがデザインをしていると僕は勘違いしてました。無印も家具のデザインをしょっちゅう外注しているようです。

家具メーカーが海外のデザイナーに発注をする場合、海外のデザイナーとはコミッションベースの契約を結ぶようです。要するに、生産や在庫の管理など経営面は全てメーカーが責任を持つ代わりに、デザイナーは図面を渡し、デザイナーの報酬は売れた個数によって変動するような契約です。

例えば『佐藤』という家具メーカーがフリーランスのデザイナーに家具のデザインをお願いし、デザイナーがデザインした家具を僕が1000元で売ったとします。仮にコミッションが 10%とすると、デザイナーの報酬は 「1000元 x 10% x 売れた数 (厳密には作った数)」となります。

家具デザインの権利は全てメーカーに属します。

「フリーランスは自分がデザインした家具の権利がメーカーに属するのってどうなんですか?フリーランスの家具デザイナーはゆくゆくは自分のブランドを持ちたいと思っているんじゃないですか?」と聞くと、意外にも自分のブランドを持つ事に消極的な人が多いそうです。

理由は経営や在庫管理などせずにデザインに集中したいからだそうです。その代わりに、自分の家具デザイナーとしての名前は広めたいから、デザイナーは『〇〇Studio』 みたいな形で自分の名前を売り出すそうです。

Kenyon の会社はスタッフが2人しかいないのですが、その理由は彼はインハウスでデザイナーを抱えておらず、デザインは彼か彼が気に入ったフリーのデザイナーにお願いをしているためです。

leo

海外でこのやり方は常識だそうですが、彼が台湾で起業した10年前は台湾で誰もこのやり方をしていなかったそうです。

今回ご紹介した外部契約のやり方だと家具が売れれば売れるほどデザイナーの報酬が増えます。従って、デザイナー(或いはStudio)は自分がデザインした家具を宣伝しようとします。メーカーはインハウスでデザイナーを抱えるリスクを軽減できます。結構win-winです。

僕のいる広告代理店の世界だとデザインを外注した場合、デザイナー側はデザインを渡して終わりなので、別にそのデザインを宣伝するモチベーションは起きません。ここはなんか改善できるなーと考えています。

その3. 自身の Studio

参考:https://kenyonyeh.com/

Kenyon は自分でブランドを抱えながらも、他社ブランドの家具のデザインも行っています。これは驚いた&面白い!って思いました。

なので彼は自分のブランドとは別に自分のデザインスタジオのウェブサイトを持っています。こうして自分のブランドを持ちながら、他社にデザインを提供するやり方は一見特殊に見えますが、家具の世界では別に特殊ではなく、結構一般的なようです。

こうして彼は自分のブランドの家具を売りながら、他社にもデザインを提供して生計を立てているようです。

台湾の家具製造技術

ここでちょっと話を変え、台湾の家具を作る技術についてお話をします。みなさんは Shoe Dog って本は読んだことありますか?Nike を創業した Phil Knight 氏の自伝なんですけれども、この本の中で台湾の工場が出てきます🏭

当時台湾の靴作りは安価な割に品質が高かったので、Nike はたくさんの靴を台湾で作っていました(今も一部作っているようです)。

また、台湾の会社で数年前 SHARP を買収したフォックスコンは OEM に特化した会社で、iPhone の製造を請け負ってます。このように台湾は物を作る技術力が昔から結構高かったりします。

Kenyon が台湾で起業したのは今から10年ほど前で、イギリスでデザインを学んだ彼は台湾に戻り、台湾で家具を製造する工場を回り始めました。するといくつもの工場が有名家具ブランドの家具製造を受注していた事に彼は気づきました。

それらの家具は台湾で製造された後、ヨーロッパへ渡り、輸入品として台湾に逆輸入されていたそうです。「だったら台湾で作ってそのまま売ればいいじゃん!😆」と彼は考えたそうです。

家具の海外販売戦略

Kenyon と彼が作った家具@朋丁

しかしながら彼は最終的に台湾人相手ではなく海外を相手に家具を売り始めます。理由はそちらの方が売れるからです😂

そこでこのブログでは最後に彼が自身の家具をどうやって海外相手に売っているかお話をします。彼の顧客の大半はアメリカの小売店だそうです。2番目に大きな顧客は台湾の小売店です。

「どうやって海外の顧客を開拓したのか?」と聞くと基本的に展覧会への出品とメールでの連絡だそうです。

最初はメールで海外の小売店にメッセージを送り、メールを送信した際に「興味があればサンプルを送ります!」と書いたそうです。

「サンプル送る送料が結構かかるんじゃないの?」と聞いたら、「送料はかかるけど出張で展示会に行くより安いから問題ない」と回答しました。家具は一度実物を見ないとわからないからガンガン海外へ無償で送るそうです。

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僕もこの話を聞いて、もっと返報性の原理を意識しようと思いました。早速今来ている問い合わせで試して結果をまた報告します。

次に、「なぜアメリカの小売店が一番のお客さんなの?」と聞くと、彼は以前アメリカやその他の国で家具の展示会に参加した際、アメリカの反応が一番良かったからだそうです。フランスでもした事があるらしいのですが、フランスは不調だったそうです。

彼自身元々はフランスとかの方が売れるかなーと思っていたらしいのですが、フランス人は色々見る割に買わなかったそうです。逆にアメリカ人は気に入ったらすぐ買ったため、ニューヨークで展示した時彼の家具は飛ぶように売れたそうです。

台湾だと彼の家具は Design Butik というおしゃれな家具が集まる場所に置いてあるそうなので興味を持った方は立ち寄ってみてください。僕は家が割と近いので今度行こうかなーと思っています。

以上 applemint 代表佐藤から台湾の家具事情と台湾家具メーカーの海外挑戦でした!