何かとロジックを気にする台湾人スタッフを相手にする時の僕の接し方

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は何かとロジックや根拠にこだわる台湾人を相手に、僕が普段どうやって KPI を決めたり、マネージメントをしているかというお話をしたいと思います。

まずは今回のブログを書こうと思ったきっかけからみなさんにお話をします。

話は僕が台湾に来て現地採用で働いていた時期に遡ります。その当時から中国語ができた僕は、入社からバンバン現地の社員とコミュニケーションを取ってました。

その時に現地社員からよく聞いたのが、「こんな目標は無理にも程がある」、「目標設定意味不明」、「この目標のロジックは何?」でした。会社勤めの人は同僚とよくこんな話をしますよね?😂

でもこれって冷静に考えると、結構しょうがない事で、なぜなら日本の本社が適当に目標を決めていてそれが台湾の代表者に下りて来ているからです。

でも幸いにも僕は自分で目標を決められるポジションにつきました。この時参考にしたのが、当時現地の会社で勤めていた時に台湾人が不満を持っていた目標設定です。

僕自身ゴールの設定は少し背伸びするぐらいがちょうどいいのは理解してますが、だからと言って無理難題なロジックのないゴールを掲げると、誰もゴールを覚えず、やる気は出ません。

だから僕は自分の会社を起業した時、絶対にロジックがある目標を立てようと思いました。

そこでこのブログでは僕のゴールの決め方や、そのゴールをどうやって台湾人スタッフに伝えているかをお話します😎

まず会社としてどうなりたいか決める

当たり前すぎるかもしれませんが、僕は社員に KPI やゴールを話す前にまずは自分がどういう会社にしたいかというコミュニケーションを毎クォーターしています。

社員には決まって「Digital x Creative」な会社を目指していると話しています。しかしこれだけだと抽象的すぎるので、「Wieden + Kennedy のクリエイティブ力にデジタルな強さがついた会社になりたい!」と言ってます。

残念ながら社員の中には Wieden + Kennedy という会社を知らない人もいるので、「Wieden + Kennedy は”Just Do it” を考えた会社だ!」と伝え、その会社並みにコミュニケーションを極めて、デジタルも極めよう!と話しています😂

なりたい姿になるためにまずはどうなりたいか決めて、それに必要な人数とコストを計算

次にそのなりたい姿に対して自分達は現時点で何が足りないか考えます。もっと具体的に言うと、どんな人材が足りなくてどんな投資が必要か考えます。

デジタルに強くなるためにはデジタルツールへの投資も必要ですが、それ以上に人材への投資が必要です。なので、主にどんな人が何人必要か考えています。また日々の生活で次にどういうデジタルなニーズが来るかアンテナを張っています。

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台湾も日本と同じく企業はもっと DX 化するべきだと思っていて、僕は DXのニーズが来ると考えています。

次に必要な人達を雇った場合、年間でどれくらいのコストがかかるか計算します。ここではざっくりと年間の給与と保険と家賃とボーナス代を算出します。

これが僕らみたいな5-6人の規模だと大体500 – 800万元になると思います。また、会社は毎年なりたい姿に近づかなければいけないので、基本的に毎年人数は増えます。その結果、「来年はデザインを強化するため、デザイナーを入れたいからみんなのボーナスを入れて700万元ぐらい必要かな〜」みたいな感じで決めます。

leo

ちなみに僕とパートナーの給与は年商の1/10ぐらいと決めてます。労働分配率を参考にしていますが、そうするとなぜか自然と年商の1/10ぐらいになりますね。

中小企業として最低限のキャッシュを計算する

自分達がなりたい姿に近づくために必要な最低限のコストを算出したら次にそのコストに対して僕らはどれくらいキャッシュ (流動資産) が必要か算出します。こういうのを流動比率とか言います。

例えば来年僕らはなりたい姿に近づくために 500万元の支出が必要だとします。中小企業の流動比率は150%ぐらいあれば優良と言われています。そうすると、単純計算で 500万元の支出に対して 750万元のキャッシュや流動資産が必要な事がわかります。

もしも僕らが現時点で500万元のキャッシュを持っていたら目標の750万元のキャッシュに対して250万元足りません。これが分かれば1年間で250万元のキャッシュを得る事を目標にできます。

1年で250万元のキャッシュを得るには毎月約20万元の営業利益が必要になります。これに自社の営業利益率と粗利率を逆算すれば毎月必要な売り上げがわかり、年間売り上げ目標が明らかになります。

まとめると僕は理屈っぽい台湾人スタッフに以下の流れでコミュニケーションをしています。

  1. Wieden + Kennedy 並のクリエイティブ力とデジタル力のついた会社にするよ!
  2. しかしそうなるには今〇〇と〇〇が足りていない。
  3. 〇〇と〇〇を得るためにはこれだけのお金が必要です。
  4. 今現在の僕らのキャッシュは〇〇です。
  5. 必要なお金と僕らのキャッシュの間に〇〇の差がある。
  6. だからこの〇〇を目標としましょう!

僕は今の所このやり方で不満が起きたことはないです。数字でロジックを武装すれば大体みんな文句言いません😎

ちなみに会社のキャッシュの状況は Google Data Studio でスタッフはいつでも見れるようになっていて、尚且つ毎月の面談で僕からわざわざみんなに話しています。

流動資産が十分と判断をしたら、その後貯まったお金は投資に使えるようになります!

採用の基準は Labor Share (労働分配率)

最後に僕らの採用時の基準についてお話しします。っていうのも僕が以前勤めてた台湾の会社ではスタッフがよく「人が足りない。採用してほしい」って愚痴っていたからです。でも経営者はいつも「いや、それより先に生産性を上げてくれよ」って思いますよね😂

でもだからと言ってスタッフに「人材が欲しいと言う前に生産性を上げろ!」なんて言ったら相手は嫌な気持ちになります。これに対して僕には明確な対策があります。ずばり数字を見せる事です。具体的には労働分配率をスタッフに見せます。

労働分配率とは粗利に対してどれくらい人件費をかけているかという指標です。例えば100万元の粗利に対して50万元の人件費をかけていたら労働分配率は50%です。

この労働分配率が高いと、粗利の割に人件費をかけすぎているという事です。僕は上場している広告代理店の労働分配率を参考にし、その数字に対して自分達の労働分配率が高ければ採用しませんし、ある程度低ければ採用を決断します。

なのでどんなに忙しくても労働分配率が高い場合は単純に労働の生産性が低いので、採用はしません。理屈っぽい台湾人には数字の武装が有効だと思っています😃

ただし僕が初めからこんなに多くのことを考えていたかと言うとそうではなく、毎年学習しながら今にたどり着いています。去年なんて最初に雇った3人のメンバー全員に半年以内に辞められてます😭

leo

あの時は苦しかったですね〜😆

このブログが今後ビジネスやマネージメントをする人の参考になれば幸いです!

以上台湾からでした!