【それ台湾人に売れる?】日本人に売れないものを台湾人に売る日系企業

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は「日本では売れないものを台湾で売る日本人」というテーマでお話ししたいと思います。

以前、僕は台湾現地の広告代理店に勤めていた際、台湾を在庫処理市場として見ている顧客に会ったことがあります。
そのお客さんは日本で売れなかった商品を台湾に持ち込んでワンチャン売ってやろうという魂胆でした。実は、今でも結構多くの日系企業がこのやり方を続けています😅

もちろん、運が良ければ台湾で売れる可能性もあるでしょう。しかし、多くの場合、驚くほど失敗します。
理由は簡単ですよね。台湾の消費者を理解する努力をせず、マーケティングもほとんど行わずに、日本で売れなかった商品をそのまま台湾で売ろうとしたって売れる訳がありません。

何が言いたいかと言うと、日本人に売れなかったものは台湾人にもそんな簡単に売れないよって話です😅

その一方で、最近日本国内では日本人に売れない商品やサービスが、円安の影響もあってか台湾人や他の外国人には売れるケースがたまにあります。
たとえば、高額な海鮮丼とかは、日本人には売れないけど台湾人やその他の外国人観光客には売れたりします。

今日は、今台湾で台湾人に売れているかもしれないけど、今後日本人にも台湾人にも売れないと思う商品についてお話をします。

ある特定の商品について話をしますが、僕はこのブログを通じてその商品を批判する意図はなく、あくまで個人的な見解となります😄

日本の不動産を購入する台湾人の大半は投資目的

普段不動産投資や不動産に興味がない僕ですが、たまたま Pivot で以下の不動産関連の動画を見ました(厳密には、ランニング中に聞き流した)

個人的にこの動画を見てものすごくハッとさせられました。この動画を僕なりに解釈して一言で伝えるとすると、「投資目的で日本の不動産を購入するのはいいけど、誰に貸すの?」って話です。

この動画では厳密にはもっと色々話していますが、僕がこの動画を見て感じたのは、「果たして日本の不動産を購入する台湾人は誰に部屋を貸そうとしているのか?」という疑問でした。

動画では、そもそも日本で自分の家を購入するという考えが広がった背景には、マイホームは親子2-3世代に渡って使う事が前提であったと出演者の方は語っていました。

その当時は、「親子が2-3世代に渡って住む家に対して数千万円ならそんなに高くないかもね」って話です。

なるほど!確かに僕の岩手の実家は確かに2-3世代にわたって住んでいるので、納得です。

しかし現代はどうでしょうか?出生率が低く、未婚率も高く、不動産を購入してもみなそもそも1世代しか住まないと思います。なんならマンションの場合、親子2-3世代にわたって住むのは不可能だと思います。

だって60年後のマンションなんてボロボロになって誰も住みたくないじゃないですか?😅

しかも人々の生活スタイルやニーズはどんどん変化しています。

数年前の東京では、会社から近い都心部や駅から近い物件が人気でしたが、リモートワークも普及した結果、必ずしも都心部に住む必要性は薄れています。

それにも関わらず先日のニュースでは、東京23区の新築マンションの平均価格は1億円を超えました。

この背景には確実に外国人 (台湾人含む) のマンションに対する投資があると思います。

以前僕らと取引があった台湾の某不動産会社さんによると、台湾人の8割は投資目的で日本の不動産を購入しているそうです。

まー残念ながら彼らは日本の不動産を購入しても、日本に移民できるわけではないので、納得です。

では、なぜ現在台湾人が日本の不動産を購入しているのかというと、(1) 投資先に困っている、(2) 台湾の不動産がそもそも高い、(3) 円安、が主な理由だと思います。

これを好機と捉え、日本の不動産会社が本当にやばいぐらい台湾市場に群がっていますが、個人的にこのバブルは2-3年で終わると思っています。恐らく不動産会社さんも理解していると思います。

台湾における日本向け不動産バブルはあと2年ぐらいで終わる

例えば、1億円のマンションを30年ローンで買ったとします。金利を全く考慮せずに毎月一定金額をローンで払った場合、単純計算で毎月 277,777円をローン返済する必要があります。

もちろんマンション投資は、家賃収入のみならず売却時の差額もポイントになるため、一概に、家賃を27万円に設定するわけではないでしょう。

しかし僕が思うのは、そもそも今の日本で家賃を20万円も払いたい人がどれだけいるかって話です。

20万円の家賃を払える人/世帯は必然と毎月100万円ぐらいの収入がある人だと思いますが、年収1千万円の方は、東京に限っていうと共働き世帯の場合が28.4%、共働きではない世帯が17.9%だそうです。

参考:https://financial-field.com/income/entry-119843

この中の共働き世帯は減る事が予想されます。日本も台湾も未婚率が増加していますからね😲

また、年収1,000万円ぐらいの人も、物価高や高額な社会保険料と税金が重なって、20万円の家賃を払おうと思う人は今後減るトレンドにあると思います(金利も上がりましたしね)。

不動産会社も馬鹿じゃないので、このことは理解しているでしょう。それを知った上で彼らは「今円安だし、 台湾人の富裕層結構いるし、今こそあいつらに売れ!」なんて感じで台湾人に売っていると思います。

実際、不動産セミナーをすると、数億円の不動産の説明会も人が集まります。

しかし台湾人も馬鹿ではありません。「東京のマンション買ったけど全然借りる人がいないんだけど」って話が、恐らくこれからちょこちょこ出てくるでしょう。

その結果、円安が続いても2年後ぐらいには不動産が売れなくなると僕は予想しています。

ついでに言うと、台湾人の不動産購入が多いのは3,000 – 5,000万円レンジで、1億円以上投資する人は少数です。

自分が欲しくないものを売る人

不動産会社の人に「もしあなたがお金を持っていたら、東京23区の億ションを買いますか?」と尋ねると、多くの人が答えに詰まるのではないでしょうか。なぜなら、彼らは日本の未来や東京の不動産市場の実情をよく理解しているからです。

僕は個人的に自分が買わない商品を人に売ることに全く興味がありません

現在、僕は醤油に興味を持っています。先日、少し値段の張る醤油を買ってみたのですが、自分の好みには合いませんでした😅
その時、「醤油も高ければ良いというわけではないんだな」と実感し、さらに醤油への興味が深まりました。なんだかお酒に似てますね。

醤油は想像以上に奥が深いのに、値段がそこまでするわけではないため、気軽にいろいろな味を試せて楽しいです。自分が好きだから人にも伝えたいと思うんでしょうね。

マーケターとして、自分が興味を持たない商品やサービスを代わりに宣伝することはよくあります。その場合でも、僕は消費者の立場に立ち、彼らが何を求めているのかをしっかり考えるようにしています。

問題なのは、依頼主自身が自分たちの商品を買う気がないにもかかわらず、僕らに販売を依頼してくることです。

例えば、昨年9月頃、ある企業から日本酒の販売プロモーションを依頼したいという話をいただきました。その日本酒の価格は1本15,000円ほどでした。

この価格設定を否定するつもりはありません。ただ、お酒をあまり飲まない僕にとって、15,000円の日本酒を買おうという気にはなれません。だから、自分ならそもそも日本酒を売ろうとは思わないし、このような価格設定にはしません。

では肝心の依頼主はどうかというと、話を聞く限り、彼自身もその日本酒を買うつもりはなさそうでした。彼は、単純に獺祭や、ファレル・ウィリアムズとNIGO氏がプロデュースした「SAKE STORM COWBOY」などに触発されて、高価格帯の日本酒を販売しているだけのように思えました。

また、台湾で販売されている日本の化粧品の価格にも疑問を抱くことがあります。日本から台湾に輸入する過程でコストがかかるのは理解できますが、その結果として価格が高くなりすぎて、もはや高級化粧品と同じ価格帯になっています。

「あなたの給与を現在の台湾の給与水準に置き換えたとしたら、この値段で買いますか?」という話です。おそらく買わないですよね?

では、なぜ台湾で日本と同等の価格にする努力をしないのか?それを実現するには、現地での生産が必要です。そのためにはOEMを探す必要がありますが、こうした日系企業が台湾の化粧品OEMにアプローチをしたことがあるのかと言うとないでしょう。

最近のフジテレビや兵庫県知事のニュースを見ると、嘘や表面的な言動はすぐに見抜かれ、不誠実な人や企業は信頼を失うことが明らかです。

「自分は買わないけど、他の人には買ってほしい」と言う企業が、これから先うまくいくことはどんどん難しくなると思っています。

今回は不動産に焦点を当てましたが、「自分は買わないけど、円安だから台湾人には売れるだろう」と考えている日本人が本当に多くてたまに嫌気がさします。

僕は、そこに未来はないと思っています。