日本酒メーカーの台湾進出が長期戦になる理由

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

先日台湾で日本のお酒を販売する、弘勝商事の代表者と対談をしました。対談した様子は後日YouTube でアップいたします。

対談では主に台湾における日本酒や酒税などについてお話をしました。興味がある方は、以後 YouTubeを見ていただけるとありがたいのですが、今日お話ししたいのは、対談動画の中で触れられなかった、日本酒メーカーが台湾に進出したら長期戦になる理由です。

日本酒メーカーのうち、数社は台湾に進出を果たし、それなりに成功をおさめていると言っても過言ではありません。しかし大半は失敗し、撤退しています。

その原因は台湾市場が思ったよりも長期戦になる事を予想していなかったためだと僕は思っています。このブログでは「長期戦」の意味と、日本酒メーカーの台湾成功の鍵についてお話をしたいと思います。

台湾における日本酒の現状:世界4位の輸出量

国税庁が発表した酒類の輸出のデータによると、日本のお酒の台湾への輸出量は長い間ずっと4位を保っています(1位:中華人民共和国、2位:アメリカ、3位:香港)。

日本酒も例外ではなく、現時点で台湾は日本酒の輸出先としては、世界4位です。台湾は地理的にも日本から近く、輸送費が低くて済み、物流のインフラが整っているため、台湾に自分達のお酒を売り込もうと考えている日本酒メーカーは多いはずです。

実際に、ちょっと高級なスーパーに行くと、日本酒を度々見ます。また、中国や韓国と違って台湾は政治的なリスクが比較的に低く、不買運動などは起こりにくいのが魅力的です。

しかしそんな台湾もいいところばかりではありません。これから台湾で日本酒、及び日本のお酒を売るリアルな現実(障壁)をお話ししていきたいと思います。

台湾における日本のお酒の販路

まず、みなさんにお伝えしないといけないのが、台湾ではお酒をオンラインで販売することはできないという事です。オンラインでのお酒の販売は法律で禁止されています。

そうすると日本のお酒を台湾で売る場合は販路が以下に限られます:

  1. スーパー
  2. お酒専門店
  3. 飲食店

一つ一つの販路の特徴をお話しします。まず台湾のスーパーに関してお話をすると、台湾のスーパーでは基本的に安いお酒しか置けないと考えた方がいいです。

台湾には主に2種類のスーパーがあり、一つは全聯で、もう一つはカルフールです。これらのスーパーでは主に安いお酒しか置いておらず、高いお酒は置こうとしても売れないですし、スーパー側の管理が面倒なので置けないでしょう。

そのほかに、台湾には city super という比較的高級なスーパーがあります。こちらでは高いお酒を置かしてもらえますが、city super の店舗数は限られます。

台湾city super の日本酒コーナー

次にお酒専門店ですが、こちらでは高いお酒も安いお酒も扱っています。例えば my9 というお酒の専門店では、僕の勝手なイメージだと中間価格のものがよく売られています。

しかしながら台湾中に何百店舗も展開しているようなお酒専門店がある訳ではなく、個別に専門店に営業して販路を拡大するのはかなりのリソースを使います。

最後に飲食店に関してもお酒の専門店と同じで、安いお酒を置いているお店もあれば高いお酒を置いているお店もあります。高級なお店では、比較的に高いお酒が消費され、一部の日本のお酒メーカー(特に日本酒)はチャンスでしょう。

しかし個別に営業をかけて販路を拡大するにはかなりのリソースが必要でしょう。

日本酒の台湾進出/台湾での戦いが長期戦になる理由

ここで本題である、日本酒メーカー及び日本のお酒メーカーが台湾で勝負しようとすると、長期戦になる話をします。

結論から言うと、日本のお酒メーカーはとにかく海外で認知度を高める努力をする必要があり、認知度の向上は1-2年で出来ないから長期戦になります。

日本酒や日本のお酒を台湾で販売するには、2つの方法があります。

  1. 台湾に現地子会社を作って、お酒を輸入して自分達で販路を開拓する
  2. お酒の販売代理店さんに輸入と販路拡大をお願いする

大抵の会社は短期的には後者を選ぶでしょう。これは日本酒に限らず、焼酎やワインメーカーも同じだと思います。

この時に大事なのは、販売代理店の立場になって考える事です。当たり前ですが、販売代理店は売れないものは引き受けたくありません。ここでは、台湾で比較的に人気な日本酒を中心にお話をします。

台湾で売れる日本酒と、売れない日本酒の違いはなんでしょうか?台湾で売れる日本酒は、安価な日本酒とブランド力がある比較的高級な日本酒です。

逆に売れないのは、中間価格の日本酒と言われています。中間価格の日本酒は、飲食店にも小売店にも中々ニーズがなく、販売代理店は扱いづらいのだそうです。

例えば獺祭は台湾でも有名なので、そこそこな値段がしても飲食店や小売店側で買いたい人はいます。安いお酒は、お酒から利益を取りたい飲食店に好かれるでしょう。

では、中間価格の日本酒メーカーは台湾では戦えないかというと、そういうことではないと僕は思っています。

とにかくブランドの認知度向上に努め、台湾のお酒販売代理店に振り向いてもらえるような仕掛けが必要と僕は思います。

僕は日本酒にあまり詳しくありませんが、恐らく大多数の台湾人も同じで、獺祭を飲んでも雰囲気やブランド名で美味しいと感じていると思います。

leo

獺祭は大した事ないという話ではなく、ブランド力で美味しく感じる人が多いという意味です。

僕は獺祭のような世界的なブランド力があれば、中間価格の日本酒も台湾で需要があると思っています。

繰り返しになりますが、ブランド力はそんなに短期的に築けるものではありません。日本で金賞を取っても海外に向けてアピールをしなければ、いつまで経っても台湾では輸入販売代理店さんに振り向かれないでしょう。

これが日本酒の台湾での戦いが長期戦になる理由です。

少し当たり前すぎた結末かもしれませんが以上 applemint 代表佐藤からでした!