2025年サンプリング効果 in 台湾

みなさんこんにちは、applemint代表の佐藤です!

今日は、最近僕の周りの企業でよく行われているサンプリング施策についてお話ししたいと思います。

かなり興味深い結果が出ていて、「えっ、そんなところにまで発展するの?」というような展開が起きているので、ぜひ皆さんにシェアしたいと思っています。

今後台湾に進出予定のある方や、台湾で苦戦している方には、きっと参考になる内容だと思います!

それでは、早速始めましょう!

絶好調の某日系飲料メーカー

先日、日系の某飲料メーカーの担当者さんとお話しする機会がありました。

業績は右肩上がりとのことですが、面白いのは、数種類ある商品の中でも主力商品の売れ行きが特に好調だという点です。

このメーカーさん、売上が伸び始めたタイミングと、ある施策を始めたタイミングがちょうど重なっているそうです。

その施策とは….ずばりサンプリングです。

各種データを分析した結果、「最初の購入ハードルさえ下げれば売上は上がるのでは?」という仮説を立てた代表者は、今年からサンプリングに注力しました。

当初は数百本単位で配布していたのですが、その後は数千本単位へと規模を拡大し、現在はイベントの規模によっては、数万本単位で配っているそうです。

さらに配れば配るほど売上が伸びるという現象が確認されたそうです。

もちろんコストは数万元〜数十万元規模に上りますが、KOLやインフルエンサーを起用するよりも、はるかに高い効果が出ているそうです。

また、他の主力商品以外はほとんどサンプリングを行っていないためか、売上は特に伸びていないとのことです。

サンプリングの影響

この会社さんは、今年サンプリングを積極的に行った結果、その評判が他の業者にも伝わったのか、最近では台北でイベントが開催されるたびに、「ブース代はいらないので、サンプルを配りませんか?」
という誘いが来るようになったそうです。

イベント主催者としても、良い商品を無料で配ってくれるなら、ぜひこの飲料メーカーに参加してほしいという狙いがあるのでしょう。

メーカー側は、もともとこうなることを全く想定しておらず、数ヶ月前までは自分たちで商品と相性が良さそうなイベントを探し、主催者に連絡を取っていたそうです。

それが今では、イベントを探さなくても主催者から直接声がかかり、その中から選ぶだけで十分。
なんとも羨ましい話です😆

サンプリングの難しさ

こうして話を聞くと、「もっとサンプリングを強化すればいいのでは?」と思ってしまいますが、メーカー側によると、なかなか強化できない背景があるそうです。

スペースを借りてサンプルを配ること自体は、外注すれば他の業者でも可能です。
しかし、千本単位で配送するとなると、倉庫からの出荷手配やブース用クリエイティブの準備など、追加の業務が発生します。

これらは外注では対応が難しく、どうしても社内スタッフの手が必要になるため、人手不足の現状ではサンプリングやイベント参加は慎重に判断せざるを得ないとのことです。

採用活動も強化しているものの、すぐに人材が見つかるわけではありません。
さらに台湾では、スタッフに無理をさせて残業が増えると離職率が高まるため、今年は一旦サンプリング活動をこれ以上拡大しない方針だそうです。

サンプル/ギフティング効果の他社事例

最近、ある健康食品会社の売上が右肩上がりだという話を耳にしました。

この会社はビタミン系のサプリメントを、やや高価格帯で展開しています。
販路は主にECですが、クリニックにもアプローチしており、詳しい取引条件は分かりませんが、おそらくアフィリエイトに近い形で販売しているのではないかと思います。

この会社では、毎月外部パートナーを活用し、インフルエンサーのリストアップや連絡、ギフトの配送を実施。
「気に入ったら投稿してください」という程度の温度感で依頼をしているそうです。

そして、この会社もまた、プレゼント配送を始めた時期と売上が伸び始めた時期が重なっており、どうやらそこには相関がありそうです。

過去の相関事例

今回、台湾におけるサンプリング/プレゼント施策と売上の相関が高そうだという、2つの事例が集まりました。

こうして売上との相関がはっきり出る施策は珍しいので、嬉しいですね。
この結果を信じるなら、「サンプルしやすい商品ほど台湾で成功確率が上がる」と言えるかもしれません。

例えば、ニッチな飲料でなければ飲料は相性が良さそうですし、お菓子も面白そうです。
ただし、現在はインバウンドで多くの台湾人が日本に行くため、持ち帰りやすいお菓子は逆に不利になる可能性もあります。

一方で、サンプルやプレゼントが難しいのは化粧品でしょうか。
最近、男性誌でSisleyの乳液が紹介されていて、たまたま妻が持っていたので使ってみたのですが、まったく肌に合いませんでした。

コスメは高ければ良いというものではなく、合う・合わないがはっきりするため、肌に合わないものをもらった場合は少々厄介です。

今回はサンプルと売上の相関が見られましたが、実は過去にも施策のタイミングと売上変化が重なった事例がもう一つあります。
それがファンミーティングです。

某コスメ会社が、自社商品のファンを招いてもてなすファンミーティングを開催したところ、なぜか2回連続で、その後にオンライン売上が上がったことがありました。
理由は今も分かりませんが、一つ言えるのは、「こうした手間のかかる“リアル体験”の方が意外と効果を発揮する」ということ。

有名人が、割高で準備の面倒なファンミーティングやコンサートを開催し続ける理由も、ここにあるのではないでしょうか。

サンプリングも「タダで配る」とはいえ、多くは土日イベントで実施するため、準備も手間もかかります。
ただ、受け取った側は返報性の原理が働くのか、あるいはマーケティング的に言うとエボークドセット(商品を選ぶ際に頭に浮かぶブランド群)に入るのかもしれません。

僕らももう少し工夫して、「与える」施策をやってみても良いのかもしれませんね。

以上、applemint代表の佐藤でした!