期待値調整と地方インバウンド強化の真実
みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は、「期待値調整と地方インバウンド強化の真実」というテーマでお話ししたいと思います。
まず結論からお伝えすると、「ブランディング」は、多くの本や記事が「いかにしてブランド力を上げるか」にフォーカスしていますが、実際には「維持すること」の方がずっと難しい、という話です。
この手の話題は僕がよく書いてますよね😅
でも、これはブランディングに限らず、さまざまな分野に共通して大事なことだと思います。しかし、多くの人にとってはブランドイメージの「維持」よりも「創造」の方がイメージしやすいので、結果的に「創造」をテーマにした本や記事が多くなるのではないでしょうか。
では、それが何を引き起こすかというと、ビジネスがある程度軌道に乗った人や、ブランディングがある程度成功した人にとって、参考になる情報源が少なくなるという問題です。その結果、こうした人たちはオンラインサロンに参加したり、現実世界の「塾」のような場に足を運ぶことが増えると思っています。
僕自身、まだまだ完璧には程遠いと感じていますが、台湾で会社を経営する中で得た経験や失敗談、成功例を共有することで、みなさんの成功確率を少しでも上げ、失敗のリスクを減らすお手伝いができればと思っています。
今回は、久々に帰省した岩手で感じたことについてお話ししたいと思います。
ブランドの宿命と価格による期待値調整
みなさんは「プリンスホテル」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
「マンダリンオリエンタル」や「リッツカールトン」のような一流ホテルではないにせよ、「まあ問題はないだろう」という印象を持つ方が多いのではないでしょうか?
今回、僕が宿泊した雫石プリンスホテルでは、いくつかがっかりする出来事がありました。その経験から、ブランド力というものは、一度上がれば価格を引き上げたり、従業員の給与やモチベーションを向上させたりする力がある一方で、守りきれないと一瞬で信用を失う危険性があることを改めて感じました。
あまり他人の悪口を言うのは好きではないのですが、今回気になったのは以下の点です:
- 部屋に前のお客さんの帽子が置きっぱなしだった
- 大浴場の体重計に電池が入っていなかった
- ところどころ汚い
- など
母によると、スキー場のホテルは高級でない限り、こうしたことが起きがちだとか…ちなみに僕は寒い場所が苦手で、スキーやスノボにはあまり行きません。今回、スノーボードをしたのは実に20年ぶりでした😅
それでも、雫石プリンスホテルの立地は非常に魅力的です。盛岡市から車で40〜50分というアクセスの良さはスキー好きにとって嬉しいポイントでしょう。当日は台湾からの団体客もいて、みな楽しそうにスキーを楽しんでいました。
さて、話を戻します😉
先ほども触れたように、「プリンスホテル」と聞けば、「まあ問題ないだろう」という安心感を持つ人が多いと思います。しかし、今回のような凡ミスがあると、その安心感が損なわれます。
さらに、スキー場特有なのか、雫石では物価が盛岡の1.5~2倍ほど高くなっていました。テレビでニセコの話を目にすることがありますが、雫石プリンスホテルもかなり強気な価格設定でした。
先日、『ハイパー起業ラジオ』というポッドキャストでプライシングについての話ありました(あ、興味がある方は聞いてみてください!)そこでは、原価に利益を上乗せするコスト何たら(名前忘れました)という方法よりも、独自の技術や競争者がいない市場で独自の価格設定をする方が良いと紹介されていました。
雫石プリンスホテルも、ある意味このルールに従ったプライシングをしているのでしょう。近くに競合となるホテルがないことや、「プリンスホテル」というブランド力があることで、この価格設定が成り立っているのだと思います。
しかし、今回のように、何らかの理由(人手不足やリソースがスキー場の維持に集中しているなど)でサービスに凡ミスがあると、期待値が高かった分だけ失望感も大きくなることを学びました。
結局、スキーを楽しみたいだけの人はスキーが終われば盛岡に戻って盛岡のホテルに宿泊すればいいでしょうし、お金に余裕がある人は雫石には宿泊せず、さらにラグジュアリーな安比高原に行って、何なら4-5倍の費用を出す気がします。
最近、中間層をターゲットにしたブランドが苦戦しているという話をよく耳にします。たとえばアパレル業界では、ユニクロのような低価格でありながら高いパフォーマンスを提供するブランドの台頭により、ユニクロとハイブランドの中間に位置するブランドが十分な価値を感じてもらえず、競争に苦戦している状況があります。
また、”ブランド”というものは、一度期待値を上げてしまうと、それを裏切るようなパフォーマンスをした際の落差が非常に大きく、顧客の失望に繋がることを改めて実感しました。
今回の経験を通じて、ブランドを守ることの難しさを強く感じました。
残念ながら、僕はまだ自分の会社のブランド力を語れるほどの実績を築いているわけではありません。ただ、どのような行動がブランドを毀損するのか、その学びを得ることで失敗を避け、少しでもブランド価値を守っていけるよう努力していきたいと思っています。
岩手空港のやる気のなさ
最後に、インバウンドについて気になったことをお話ししたいと思います。
先日、岩手県知事がインバウンド強化を表明していましたが、正直、「はいはい」と僕は思っています😅
自治体の方々は、みなさんもちろん努力していると思いますが、民間企業と違って公務員の方々はいくら観光客が県や市の財源が増えても、そんなにインセンティブは働かないので、過度に期待するのは良くありません。
あと、岩手に来ると過剰なほど大谷翔平選手のグッズや看板があって、ずっと見ていると、むしろ大谷翔平選手が嫌いになってきそうです😅
デジタル広告の業界では、広告の露出があまりに高いと逆にブランドが嫌われことがわかっていて、広告の露出頻度のことをフリークエンシーと呼ぶのですが、僕らはそのフリークエンシーを毎月追ってます。
それはともかく、これぐらいやろうよと思ったことがいくつかありました。
今回まず気になったのは空港の環境です。別に、花巻空港をチャンギ国際空港のように豪華にしろとは言いませんが、税関を通ってから預け荷物を受け取る場所までが驚くほど寒かったのが印象に残りました。
これが意図的なものなのか、節電の影響なのかはわかりませんが、スタッフが寒さの中で業務をしているのを見ると気の毒でしたし、訪れた人を歓迎するような環境ではないように思えました。
例えるなら、バンコクの国際空港で降り立った直後、室内がしばらく蒸し暑いような感覚に近いです。皆さんならどう思いますか?僕は包み隠さずお話をすると、なんかケチくさいなーと思ってしまいます…
こういった環境は、インバウンド客の第一印象に少なからず影響を与える気がしています。特に、東南アジアや台湾など暑い地域から訪れる観光客にとって、夏場の冷房の効いた室内は「歓迎」の意を表すものとして捉えられることが多いです。
つまり逆も然りで、寒い所なら暖かくしましょうよって事です。
岩手県がこれらの地域からの観光客をターゲットにするのであれば、些細なことではありますが、こうした小さな改善をコツコツ進めるべきだと感じました。なんでも「バズ」みたいなホームランを狙うのではなく、基礎的な部分から着実に取り組む姿勢が重要だと思います。
たとえば、台湾からの直行便が週に2便しかないのですから、その2日間だけでも暖房を強化してもいいわけで….
あ、ちなみに、よく議員の方が海外視察に行くと、市民やメディアから批判されることがありますよね。ああいう批判は無視して、どんどん海外に行くべきだと僕は思います。もちろん、昼からビールを飲んでバケーション気分の低レベルな議員は論外ですが、真剣に取り組む議員であれば積極的に海外に行って、現地の視点やアイデアを学ぶべきです。
また、花巻空港の中国語表記についても少し気になりました。簡体字と繁体字が混在していたんですよね…「おいおい」と思いましたが、まあ仕方がない🙂
今回飛行機で一緒になった団体客は、翌日雫石で再び見かけました。おそらく、初日は花巻温泉を訪れ、翌日に雫石へ移動したのではないかと予想しています。
現在、岩手や秋田、日本の地方と呼ばれる多くの場所では、台湾からの観光客の7〜8割が団体旅行です。団体客のメリットは収益が高く予測しやすい点ですが、一方で旅行代理店頼みになるというデメリットもあります。
インバウンドを強化するなら、当たり前ですが、団体旅行客と個人旅行客の両方をバランスよく獲得する戦略が必要です。さらに、ビジネスで重要なのは「リピート」です。
つまりですよ、僕が岩手県のトップなら、一度団体で訪れた人が「次は個人旅行で来たい」と思えるように、何を改善するか意識した方が、岩手みたいな地方は台湾からのインバウンド客が増えると思っています。
それなのに公募とかで見るのは、個人客を狙ったインフルエンサー募集とか的外れなものばかり…
一度岩手に団体旅行できた人の方が、来る確率は高い訳で、ターゲティングを重視するマーケティング思考の僕なら迷わず、そっちから狙うんですけどね…
最後に、今回宿泊した「マザリウム」は、ヘラルボニーがプロデュースした部屋のアートや香り、空間の内装がとても良く、また訪れたいと感じました。
民間企業は民間企業で頑張っているのに、空港の環境とか、県がどうにか出来る事をしないで民間企業の努力を水の泡にするのは、よくないですよね..
以上、applemint 代表佐藤からでした!