結局既存のものを持ってくるのが早いって話

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は結局何か新しく始めるよりも、日本のイケてるものを持ってくるのが一番早いって話をします

ここだけ見ると当たり前すぎるので、このブログではきちんと実際にあった事例をご紹介します。

ある会社さんが仕掛けているイベントが、現在台湾(台北)で結構うまくいっていて、見せ方や商品デザインを含めて、一から何かを創ることの無謀さを改めて感じます。

特に短期的に利益を出したい場合は尚更です。

もしも1から自分で何かを作りたいなら、教育するところからスタートします。
この教育費が、下手したら10〜20年単位でかかるのでバカにならないのですが、それでもいいという場合しかやってはいけない気がします。

何はともあれ、今日のこのブログでは、日本のあるイケてるものが台湾でうまくいってるよーっていう成功事例をご紹介します。

台北101付近に突如現れた金魚展

2025年1月から、台北101近くの Att4fun と呼ばれる商業施設で金魚展が開催されています。

たまたま、そこで短期間正社員として働く知り合いがいて、その人からチケットをいただき、連休中に行ってきました。

この Att4fun という場所は、そもそも高層階にクラブやバーがいっぱいあるようなビルで、ここも金魚展をする前はバーレスクをコンセプトにしたお店をしていました。
しかし、その当時あまりにお客さんが入らず、お店側で今年から方針転換をすることになったようです。

その結果、なぜ金魚展をすることになったのかは僕は知る由もありませんが、この金魚の展覧会は元々日本で割と有名だった展示会だそうです。

例えるなら、TeamLab が仕掛けているような展示会を、Att4funでバーレスクをコンセプトにしていたお店が台湾に持ってきた感じです。

これがですね…割と調子がいいみたいです👍👍

僕は連休(清明節)初日に行ったのですが、清明節の割に人が入ってました!

By the way、清明節って連休初日は結構台北がガラガラになります。
僕が行きつけのマッサージ屋さんも言ってたのですが、清明節の最初の2日は台北の方は里帰りとかで実家に帰るので、結構暇だそうです。

僕もお昼時に101近くに行ったのですが、確かにいつもの休みと比べて人は少なかった気がします。

興味深かったのはそんな中、金魚展には若い女の子や子供連れの親子がいたことです。

これは2つの観点からすごいです:

  1. 清明節で人がいないのにきていた
  2. クラブのフロアにクラブに行かない人がいた

Att4funは、昼間は本当にただの商業ビルで、1〜2階にはユニクロやオウンデイズが入っています。
3〜4階は確か飲食店が入っていたと記憶しています(ごめんなさい、ちょっと忘れました🙏)。

ただ、普通の人が5〜6階以上に行くかと言われると、「上の階はクラブがある」という印象が強いので、そこまで行かないのが現実です。

そんな中、若い子たちが普段クラブで盛り上がる上層階にある金魚展に足を運んでいるということは、
彼女たちはちゃんと金魚展の存在を知っていて、興味を持って行った、ということになります。

金魚展の集客やマネタイズは??

そんな金魚展ですが、なんと週末は午後2時以降になると、会場の外に列ができるそうです。
始まった当初はメインの顧客である学生さんが休みだったこともあり、なんと1日に600人前後来ていたみたいです。

ちなみに、チケットの値段は350NTDで、学生からすると決して安くはないし、ものすごい高いわけでもないといったところです。

今は少し落ち着いて、平均して一日だいたい300人前後の集客のようです。

ただ、350NTDのチケット代に対して、毎日300人集客できれば、単純計算で1ヶ月300万元近い売上があります。

しかも金魚展は、びっくりするほど人件費がかかりません。
基本的に金魚鉢を置いて、受付と物販セクションに人を配置し、せいぜい1日3人ぐらいのオペレーションで事足ります。

ただ、今回の展示にあたって、動物愛護団体からの激しい抗議があったらしく、その影響で金魚の専門家をバックオフィスに常に配置する措置をとっています。
この方の人件費はそれなりにするらしいです😅

何はともあれ、Att4funという場所は決して安くないので家賃はそれなりにかかるものの、人件費は抑えられているため、初期投資や広告費を入れても半年で回収できるようです。

今時台湾で半年回収ビジネスは中々ないので、すごいなという印象です。

成功要因や行ってみた感想

今回成功した一番の要因は “パッケージ”(見せ方)な気がしています。

当日は、とても綺麗な金魚鉢の前で10分ぐらい熱心にポージングをして動画を撮影しているコスプレ女子もいました。インフルエンサーなのかもしれません☺️

その他にも、学生と見られる方が100%動画や写真を撮っていました。

また、お客さんの9割は女性でした。恐らく後日SNSにアップしていると思います。

やっぱり現代においては、どんな商品やサービスでもとにかく見せ方が大事なのを再確認しました。

去年台湾で拉麵公子というお店が、大王具足蟲(ダイオウグソクムシ)のラーメンを出して話題になりましたが、こういう”見せ方”への意識は大事ですね(このラーメンは賛否両論ありますが…苦笑)

この金魚展の金魚鉢や見せ方は、当然主催者が企画したものではなく、あくまで日本でもうすでにプロの方が緻密に設計したものです。

今回金魚鉢は日本から借りてきたらしく、運搬の費用はとんでもないと思うのですが、その分質の高い展示ができていると感じました(あ、もちろんライセンスフィーはお支払いすることになっています)。

実は今回の展示は僕自身こうした背景を知らずに、正直あまり期待していなかったのですが、金魚鉢から照明や見せ方まできちんとプロに任せていたため、本当に質の高さを感じました。
だからこそ、数ヶ月経っても毎日300人ぐらい集客できているんだと思います。

こうしたイベントは短期的に結果を出す場合、一から自分たちで設計するのではなく、もうすでに出来上がったパッケージを持ってくるのが本当に手っ取り早いと思いました。

素人がやると、見せ方とコンテンツの質で絶対失敗する気がします。

ちなみに、拉麵公子は元々それなりに人気のあるお店で、通常営業時も並んでいます。

金魚展然り、大事なのはまずは質で、その上で見せ方を考えるのが現代は必須と言えるでしょう。

物販のやり方と売上

最後に、この展示では物販もあったので、その話も共有します。

聞いた話によると、一番売れた商品の一つはステッカー(60NTD)です。
僕も度々ジャンプのキャラクターのステッカーを買ってしまいますが、なんか買っちゃいますよね。

あ、ステッカーももちろん主催者がデザインしたものではなく、ちゃんと日本の金魚展の仕掛け人がデザインしたかわいいものです。

また、意外に売れたのは本の栞だそうです。
これもリーズナブルな値段なので、値段が関係しているかもしれません。

あと、金魚と全く関係ないですが、旧正月の時は、七福神のオブジェがかなり売れたそうです。

逆に、びっくりするほど売れなかったのは化粧品です。

これはアルバイトをしている某スタッフが自分たちの会社の商品を置いている関係で置いたのですが、入ってすぐの位置にあるにも関わらず、あまり売れていないそうです。

あ、化粧品を置いた背景は、とにかく突貫工事で物販セクションを作ることになり、あまりに短期間で物を集める必要があったため置いたそうです。

ちゃんとサンプルも置いてあって自由に試せる環境なのに、売れていないみたいです。

客層と商品がマッチしていないのもありますが、そもそも手に取りづらい、自分の好みがしっかり分かれる商品は、今後も台湾での成功の難易度は高いことを実感しました。

また、今回の物販で扱っている商品は、すべて「売れなければリターンできる」という条件になっています。
もともと展示や運搬にかなりのコストがかかっているため、自分たちで商品を買い取って販売するのはリスクが高すぎると判断した結果です。

メーカーや販売代理店側も、「どうせ倉庫に眠らせておくくらいなら、展示会場に置いたほうが売れる可能性がある」ということで、協力してくれたようです。
これは、なかなかWin-Winな仕組みだと感じました。

以上、金魚展のケーススタディでした!