【足し算のサービス】海外一流企業のサービスの設計

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は”足し算のサービス”というテーマでお話をしたいと思います。僕は現在カタールのドーハへ来ていて、連日サッカー観戦に明け暮れています。

カタールに滞在中は、ドーハ市内の港に横付けされた MSC というヨーロッパの有名なクルーズ船に宿泊しました。

ここでの体験が僕には結構新鮮で衝撃的だったので、今回はその時の話をみなさんに共有をしたいと思います。

ちなみに、クルーズ船に泊まった理由は単純にW杯期間中はクルーズ船しか部屋が空いていなったからです😭

僕はワールドカップの2次抽選でチケットが当たりました。そのため、カタールに行く事が決まったのは比較的最近の話です。

その頃には第一次抽選で当選した方々が市内のホテルを全てブッキングし、残りはファンビレッジとアパートとクルーズ船しかありませんでした。

ファンビレッジは連日報道されているように、宿泊するにはあまりいい環境とは言えず、アパートもただの部屋で、アクセスも悪いです。そのくせにこれらの宿は2-4万円かかるから恐ろしいものです。

だったら、普段お金あまり使わないし、この際だからいい所に滞在しようと思ってクルーズ船にしました。

結構な値段はしましたけど、本当に良い経験になりました。サービス業に従事する人は全て経験してみた方がいいと思っています。

leo

今回の旅をきっかけに、ディズニーのクルーズ船も泊まってみたいと思いました!笑

日本や台湾のサービスは全て揃える事から始まっている

日本のホテルってなんでも揃えられてますよね?アメニティは勿論のこと、何から何までついているイメージです。台湾も同じで、比較的になんでも揃っている気がします。

日本人も台湾人もホテルに色々揃っていないと怒る気がします😂

では、世界的に有名な MSC のクルーズ船はどうか?結構揃ってないんです😂 以下は僕が泊まっている部屋の写真です。

そんなにすごい部屋じゃないので、揃っていないのは当たり前かもしれませんが、こんなもんです。

歯ブラシはないですし、石鹸もありませんでした。これらはクルーズ内の売店で買う必要があります。なんかクルーズ船なのに、大した事ないと思いますよね。

leo

MSC のクルーズ船はクルーズの中ではリーズナブルな方です(それでもW杯期間中の価格はやばいですが…)

けれどこのクルーズ船はサービスがとてもよく、それだけでアメニティがどうだとか忘れさせてくれます。ではそのサービスとはなんなのか?

ヒントは足し算のサービスです。

日本のサービスは引き算のサービス

日本は相手のニーズを悟る文化です。日本人の方は口に出して意見を言うのが好きではないので、サービス提供者は相手のニーズを悟って予め色々揃える必要があります。

「かゆい所に手が届く」と言う表現なんてまさに日本的と言えるでしょう。日本人は揃っているはずのものが揃っていないと、怒ります。「サービスが悪い」と考える人が多いです 😞

この「初めから全て揃える = 良いサービス」という思考がまずいかなーと僕は思っています。

初めから全てを揃えるようなサービスの設計をし、ガチガチにルールを設けると、想定外のニーズが来た時対応できません。

つまり、日本は「あれはあるか?あれはできるか?これはあるか?これはできるか?」という要求に対して対応できないホテルやサービスが多く、どうしても顧客から見ると柔軟性に欠けるように思われる事態が起きます。

これは、100を準備して例外対応ができないとどんどんマイナスをする引き算のサービスです。

MSC は足し算のサービス

一方の MSC はどうかと言うと、こっちは足し算のサービスだ僕は考えています。彼らは最低限準備をして、顧客の対応に合わせて臨機応変に対応するイメージを今回持ちました。

例えるなら、MSC は 50%準備をして、残りの50%は顧客のニーズに合わせて足していくイメージです。

以前のブログにも書きましたが、僕は顧客が”いいサービス”と感じる瞬間は、柔軟な対応、及び例外対応される時だと思っています。

MSC ではスタッフが色んな事に例外対応してくれます。だから、MSC のクルーズにいるととても”顧客”である事を意識できて、満足度が高いのです。

例えばですが、屋上のデッキでミルクシェイクを頼み、もっとホイップクリームが欲しいと言えば MSC は多分足してくれます(言った事ないけど 笑)

日本だったら、「すみません、当社の規定では…」とか言って、対応をしてくれない場合が多いと思います。

その結果、日本人は皆優しくて愛想がいいけど、サービスは大した事ないという結果になります。

ちなみに、MSC のスタッフは皆抜群に愛想がよく、英語は当然出来て、今のところ全て例外対応してくれてます。

これじゃー日本のサービスが世界に勝てないわけです😭

日本は世界を相手にして来た経験値が圧倒的に足りないだけ

日本のサービスはガラパゴス化しているため、現在の日本のサービスは日本人にはいいかもしれませんが、世界の人から見るとあまりいいサービスに見えないのが現状です。

でも、僕はこれは訓練すれば出来ると思っています。MSC がなぜ世界の人を相手にこんなに上手くサービスが出来るかと言うと、それは経験だと思います。

MSC にいると、なんでも聞くことが大事なのを痛感します。日本だったら、「あれ大丈夫かな?でも聞いたら迷惑がかかるからな…」と思う場合は少なくないと思います。

例えば昨日、僕は昨日ドーハ市内のモールに行ったのですが、そこに KIKO というミラノの化粧品ブランドがありました。僕の妻(台湾人)は色々試した結果、63番の何かが欲しいと思ったのですが、テーブルにはありません。

この時、日本人は「63番はないのかー」と思って諦める事があります。しかし海外はちゃんとしてない場合が多いのを僕は知っているので、在庫があるかどうか聞くと、ちゃんとありました。

leo

僕の妻は日本人っぽい台湾人です…

海外は顧客がガンガン質問や要求をします。なぜなら MSC のサービスはミニマムからスタートしていて色々足りないからです。これは MSC に限りません。

また、海外の人は聞く事や要求が当たり前なので、MSC もそれに合わせています。MSC では子どもでさえ色んなことを係に聞いています。これが海外です。

MSC はヨーロッパという色んな国の色んな人種に対して、初めから準備をするのが不可能な事を理解しています。僕も MSC に着いてからはやりたい事やわからないことはとにかくガンガン聞いています。そうしないと自分が損するからです。

僕は日本人も MSC と同じ事が出来ると信じています。日本人はただ単純に経験が足りないだけです。

給与や研修をケチったら拡大はあり得ない

残念ながらその「経験」を積ませようとしない企業が多いのも事実です。

日本のサービス業に従事する人の中には、仕事に忙殺されて一流のサービスを受けた事がないような人がたくさんいます。

ホテル従事者の中でクルーズ船に乗った事がある人は果たしてどれくらいいるでしょうか?高いホテルに泊まった事がある人はどれくらいいるでしょうか?海外旅行に行く人はどれくらいいるでしょうか?

leo

ちなみに、クルーズ船と言っても別に超豪華なのに乗らなくてもいいと思います。

みんな自分の生活を優先して、こうした投資をしない場合が多いのではないでしょうか?自分で外国のサービスを体験しないで、どうやって外国人への対応を学ぶのでしょうか?

僕がホテルの責任者や部長なら、忙しくても絶対に海外旅行行きますし、 MSC でもなんでもいいのでクルーズ船にも行くと思います。なんなら会社側が費用を一部負担しても良いでしょう。

ちなみに僕は今回カタールに来る前にバンコクに滞在し、バンコクにある日系企業に対してお手伝いをすることになりそうです。

残念ながら僕はバンコクをあまり知りません。この事業を担当するスタッフもバンコクの事を知りません。それなのにどうやっていいサービスを提供しろというのでしょうか?

なので、少々費用はかかりますが、僕は旧正月明けにスタッフにバンコクに行かせます。自分で経験しないと良いサービスは提供できません。

自分が従事する仕事がなんであろうと、その領域で稼ぐのであれば、その領域のサービスは一通り受ける必要があるなーと感じた次第です。

leo

僕もデジタルマーケティングのサービスを自分から受けようと少し反省しました。

最後話は少しそれましたが、今回は足し算のサービスというテーマで書きました。