日本と台湾の地震に対する対応の違い
みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
先日は台湾でものすごい地震がありました。僕はなんだかんだで、台湾にはもう9-10年住んでいるのですが、今までで一番大きい地震だったのではないかと思います。
そんな大きな地震が台湾東部の花蓮で25年ぶりに発生し、台北でも様々な影響がありました。
地震が発生したのは、台湾時間午前8時頃だった事もあり、ちょうど MRT (メトロ) で通勤をしていたうちのスタッフはMRT が停止し、通勤が困難になりました。
僕はその後スタッフに在宅勤務をするよう指示したのですが、なんとうちのスタッフは連休前に他のメンバーと色々確認をとりたかった事からオフィスに出勤をして、まさかの代表者の僕だけが在宅勤務をするという面白い事態が発生しました😅
みんな真面目で素敵なスタッフです。
今日のブログでは地震当日にどんな事が起きて、日本と台湾で地震に対する対応の比較をしたいと思います。
日本人も台湾人も今回の地震から色々学べる事があるのではないかと思います。
日本の地震と津波速報の異常な速さ
台北で大きな揺れを感じた時、僕は幸いにも家にいて、ちょうど通勤へ出かけようと思っていました。あまりにも大きな揺れだったので、とりあえずテレビをつけて正確な情報を把握することに努めました。
ちなみに、ものすごい大きな揺れだったにも関わらず、僕の携帯のアラームは鳴りませんでした。ただし一部の人は鳴ったようですね。
その後の調査で、政府側のアラートシステムが今回の地震を大きな地震と捉えなかったためにアラームが作動しなかった事がわかりました。要するにバグが発生したという事です。
これは今後国会で野党に追及されそうですね…
それはともかく、台湾のニュース番組を見ていたら、地震の速報を知らせる表示は出てきたものの、情報を整理するのに時間がかかっていたのか、キャスターの方は「地震が起きました!今情報を整理しています」と一言発しただけで、次のニュースに移りました。
全然情報が入らないので、日本のニュース番組はどうかな?と思って YouTube の ANN や TBS などのニュースライブを見たら、こちらは沖縄の津波警報をすぐに発信していました。
突然津波警報を見てびっくりしたので、台湾はどうだろうと思って、台湾の気象局のウェブサイトにアクセスしようとしたら、まさかのダウン…
台湾も日本から30分ぐらい遅れて、津波に注意する旨をニュース番組で取り上げていました。
危機管理能力があまりに高い日本
少し話がそれますが、僕は2011年3月11日の東北の地震を東京で経験しました。先日の石川県の地震が起きた際は、岩手県の実家に帰省中で、この時も日本で地震を経験しました。
そして今回の台湾の地震を経験したわけですが、結論から言うと日本の危機管理能力は本当に高いなーと思いました。まず、地震が発生してから震源地や地震の大きさを伝える速報が日本はとにかく早いなーと思いました。
台湾は震源地や地震の大きさを伝えるのに、10分以上はかかった印象です(それでも他国と比べたら早いと思いますが…😅)
また、日本は津波が発生したら、その津波を伝える動作もとてつもなく早いなーと感じました。
別に僕は台湾を批判しているわけではなく、日本が異常に早すぎるのだと思います。台湾はこの規模の地震を25年経験していなかった間に日本は、東北の地震、熊本の地震、石川の地震と立て続けにでかい地震を経験しています。
そりゃー地震が発生した際の SOP がすごい事になるよなーと思います。
また、日本では地震が起きたら、万が一地震が再度発生して天井から物が落下した時に備えて、キャスターの方々はヘルメットを被りますが、台湾ではそうした光景が見られませんでした。
繰り返しになりますが、別にこれは台湾のテレビ局やキャスターの方々を責めているわけではなく、日本ではあまりに地震が頻発するため、災害が起きた時の SOP が完成しているというだけの話だと思います。
通勤や通学に関しても、日本は色々準備しているなーと今回の地震を通じて感じました。例えば僕が新卒で入社したメーカーは、僕の入社時期が 3.11 の直後だった事もあり、大災害が発生した時に備えて連絡網や対応のマニュアルがしっかり作られていました。
自分でこう言うのもあれですが、恥ずかしながら僕の台湾の会社ではそうしたマニュアルは特に存在せず、あったとしても急な災害が発生した時に冷静にそのマニュアルを見れたか疑問が残ります。
日系企業と一緒にお仕事をすると、彼らはプランBだけでなく、プランCやDぐらい考えている場合が多々あります。僕は時にそれらを無駄だと思っていましたが、災害が発生した時はプランCぐらいまで必要な事を改めて思い知らせれました…
すぐに日常を取り戻した台北
3.11 に東北で起きた地震は、東北に壊滅的な被害を加え、東京でも電車が止まるなど少なからず影響が出ました。
その後自粛ムードが東京で流れ、外に出ないで消費を控えるような行動もあったかと思います。
石川地震の時は流石にそこまでの自粛ムードにはならなかった気がしますが、石川県に在住の方々は安全を考慮し、外出を控えていたと思います。
台北は面白い事にあれだけの大きな地震が発生した後でもすぐに日常を取り戻した気がします。
僕はその日、通勤予定だったのを急遽取りやめて在宅勤務に切り替えたのですが、午後にどうしても外出する必要があり、あるお客さんの展示会に行ってきました。
それまで余震が続いていたので、正直少し不安でしたが、展示会場に着くと意外なほど人が来ていて、担当者に話を聞いたら、むしろ地震前日よりもお客さんは来ていたそうです。
その後僕らのクライアントのマッサージチェーンのお店の状況が気になったので、代表者に電話をしたら、お店の予約状況も特に変動がなく、みんな予約通りに来店をしていたとのことでした。
展示会場からの帰り道にちょうど行天宮が近くにあったので、行ってみると、平日にも関わらずものすごい数の人がいました。付近のお店も全て開いてました。
僕はこうしたメンタリティが結構好きです。僕の場合、プランBやCを考えるのはあまり好きではなく、とりあえず何かが起きたらその時に考えればいいというメンタルだったりします。
もちろんこのようなメンタルに、メリット・デメリットはありますが、地震当日に台北で見た光景には、なんだか台湾人の良いメンタリティが反映されていた気がします。
先日発表された世界幸福度ランキングで台湾は東アジアでトップの31位でしたが、その理由は、考えすぎない事なのかなーと勝手に思った自分がいました😅
その反面は日本は考える事ばかりです。電車の中では他の乗客の事を考えて電話の通話はいけませんし(なのに友達と話すのは大丈夫…)、公園では他の利用者の事を考えてボールを使った遊びが出来なくなってきていますし、エスカレーターは歩いてはいけないと鉄道会社が呼びかけても、急いでいる人の事を考えて片方に立ちます(台湾も同じですが、僕は急いでいる人はそもそも階段を使うべきだと思っています)。
先日僕は大稻埕に行った際に、駐車場でカラオケをしている人をみましたが、日本だったら人の目を気にしてあり得ないと思っています。
でも、台湾ではそんなに他の人が自分をどう見ているか気にしていない。
外務省の2023年の調査によると、台湾には日本人が2万人います。そんな2万人の日本人の中には、きっとこうした台湾人のメンタリティに魅力を感じて台湾を好きになり、台湾に暮らしているのだと思います。
僕もその一人です。日本から災害時の危機管理能力を学びつつ、台湾にある台湾の良さを大事にしていければと思ったのでした。