台湾で人を増やしたくないけど、増やすその真意とは?

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は台湾の人材について現在 applemint が抱えている問題についてお話をしたいと思います。

今後台湾で起業をする方や、台湾に進出してビジネスをする方にとっては大いに参考になるかと思います。

人材の問題には度々触れていますが、毎年状況は変わりますし、毎年それに合わせて適応していく必要があります。

今回も自分が思うところが色々あったので、ブログにしてみなさんにお伝えできればと思います!

あ、宣伝ってほどではないですが、久々に人前で話します。

1/14 の18:30にJR東日本が運営する One & Co というところでお話をします。

僕が起業してここまでどのようにサバイバルしてきたかお話をするので興味のある方は当日お会いしましょう!

それでは!

会社で大事なのは窓口

以前、歌手のGacktさんの密着映像を見たことがあります。その番組では、ナレーターが「Gacktさんは、わざわざチケットを確認するスタッフや客を案内するスタッフに挨拶をする」という表現をしていました。

Gacktさん自身は「彼らや彼女たちが、お客さんと一番接触するから大事なんです」といった趣旨のことを話していましたが、僕も本当にそうだと思います。

仕事をしていて感じるのは、どんな革新的な技術を持っていても、顧客と接する窓口がひどければ、顧客は僕らを選ばないということです。

たとえば、レストランがどれだけ素晴らしい料理を提供していても、スタッフの対応が悪いだけでその評価は大きく変わります。

僕の知り合いに、料理への強いこだわりを持ちながら、内向的な性格のシェフ/オーナーがいます。彼はその性格もあってか、厨房から出て顧客に挨拶をすることがほとんどありません。

その結果、「スタッフガチャ」(ホールスタッフのサービスが悪い人に当たる事)が起きた際には、彼のレストランの評価が大きく下がってしまいます。

一方で、僕の知り合いの外交的な性格のレストランオーナーは、厨房から積極的にホールに出て、顧客と直接コミュニケーションを取りながら料理を提供しています。
同じ料理の質であれば、後者のレストランが選ばれる可能性が高いと感じます。

何が言いたいかというと、僕らのようなデジタルマーケティングの会社においても、窓口が非常に重要だということです。伝え方次第で、どれだけ素晴らしい技術を持っていても、それが良くも悪くも評価されるのです。

では、顧客は僕らの窓口に何を期待しているのでしょうか?僕は、顧客が僕らに求めるものを「プレファレンス」と呼んでいます。

起業してからの7年間で感じた顧客の僕らに対するプレファレンスは、次の順番で重要だと考えています。

  1. 結果、信頼、専門性(要するにこの人なら結果を出せるか?ということ)
  2. スピード
  3. 態度

異論はあると思いますが、僕は個人的に結果をいちばん重視しています。

たとえば、僕らの某顧客は、正直言って僕らとものすごく親しい関係とは言えませんが、それでもなんだかんだで2年以上お仕事を任せていただいています。
その理由は「結果」を出しているからです。顧客が求める結果を提供すれば、人間関係が希薄でも仕事は来るのだと思います。

同時に、専門性も非常に重要です。なぜなら、専門性があると、それが結果につながると顧客が信じるからです。
専門性があるかどうかは、会話をしていればなんとなく分かりますよね。なので専門性がないと判断されたら、その時点で顧客は話を聞くのをやめ、興味を失ってしまいます。

以前、社員旅行で知床に行った際、あるガイドさんのツアーに参加しました。
そのガイドさんはまさに「1年目」という雰囲気で、先輩社員がフォローしている様子がありましたが、喋り方がおどおどしていて、「僕たちを実験台にしないでほしいな」と思ってしまいました😓

お客様からすれば、相手が1年目であろうと3年目であろうと関係ありませんからね…。

Anyway! 結果が出ないことは、ビジネスではよくあります。そのときに大切なのは、「すみません、申し訳ありません」という謝罪ではなく、「すぐに挽回します!すぐに改善します!」という姿勢です。

経営者として強く感じるのは、起きたことを議論する時間があるなら、さっさと次のアクションを起こしてほしい、ということです。
なので結果の次に大事なのはスピードだと思っています。

そして最後に「態度」です。多くの場合、顧客対応でとんでもなく態度が悪い人はいないと思いますが、態度が悪いスタッフは窓口に立たせてはいけません。

もちろん、人によっては「態度」が最も重要だと考えるケースもあるでしょう。僕はそうは思いません。
たとえばFacebook広告の担当者の対応は正直ひどいものですし、可能ならFacebook広告を使いたくないぐらいですが、結果が出ているので仕方なく何年も付き合っています😅

このプレファレンスは、業種や状況によって変わることもあるでしょう。それでも、広告代理店業における顧客のプレファレンスを深く掘り下げると、「結果/専門性」「スピード」「態度」の三つが本質的な要素だと感じています。

窓口はどうしても増やしたい…

長くなりましたが、正直に言うと、僕は現時点で台湾で会社を10名以上の規模にするつもりはあまりありません。
その理由は単純で、手間が増えるのが嫌だからです…

でも、今後のビジネスの成り行き次第では、10人以上にする必要もあるのかもしれません…

そんな中大事なのは、会社の窓口 (アカウント業と呼ばれる人) の数だけは増やさないといけないと感じています。

僕は会社の窓口だけは内製化するべきだと考えています。というかそれまで外注したら、僕らの会社の存在意義はあまりないでしょう😅
外部の人がフルコミットで、顧客の前でいい対応をしてくれるとは思えません。

正直なところ、顧客への報告やプレゼンテーションはストレスが大きい仕事なので、多くの人が避けたいと思うのが本音です。僕自身もそうでした。
たとえば、東京の外資系の広告代理店でマイクロソフトを担当していた際、マイクロソフトの各プロダクトのマーケティングマネージャーに発表するときは、毎回吐きそうな気分になっていました😅

相手は僕よりも一回り上で、その当時の僕はペーペーなので、相手の方々はなおさら威圧感がありました…

しかも発表の場には、プロダクトのマーケティングマネージャーだけでなく、自分の上司も在籍しており、下手な発表をすれば色んなダメ出しがあったので、ダブルのプレッシャーを受けていました。
なので当時は発表の前日や直前に2時間ほど練習していました。

起業後は膨大な量の業務をこなし、デジタル広告運用、デザイン、動画編集、企画、ウェブサイト分析まで一通り経験しました。そのおかげで、今では誰が相手でも緊張しない自信がつきました。

同業他社が来ても怖くないです。むしろ電◯や博◯堂のような大手の窓口担当者は、細かい作業を外注している場合が多いので、肩透かしを食らうこともあります。

ただし、僕のようにすべてをこなしてきた人間は他にいないでしょうし、そんな人材を期待しても現れるわけがありません。では、どうするべきか?

台湾で起業して7年経ってつくづく思うのは、スタートアップは大卒や新卒を採用すべきではないということです。過去に新卒を3名ほど採用しましたが、全員が1年以内に辞めています。コストパフォーマンスを考えると、明らかにマイナスでした。

applemintには最近大卒者が入社しましたが、未経験者の採用は彼女で最後にしようと思っています。今後は少しコストをかけても、経験者のみを採用したいと考えています。

新卒は、ある程度システム化され、一定の規模に達した大企業が受け入れるべきだと思います。スタートアップでは対応が難しいです。(もっとも、台湾の大企業は日本の大企業と比べてシビアなので、新卒を簡単に採用することはあまりありませんが…)

窓口が大事にすべきコミュニケーション

最後に僕が考える、窓口が大事にすべき顧客とのコミュニケーションについてお話をして終えます。

applemint のスタッフには何度も話をしていますが、顧客とのコミュニケーションで大事なのは以下です:

・Expertise
・Tone
・Body Language

映画『Wolf of Wallstreet』 のモデルにもなった、Jordan Belfort氏のコミュニケーションに関するプレゼンはすごく参考にしています:

人は、結局最初の4秒程度で相手を判断します。その判断基準は、以下の3つです。

  1. 「熱」があるか
  2. 専門性があるか
  3. シャープさ(モゴモゴしていないか)

さらに言うと、人がこれらを判断する際に見ているのは、実は ボディランゲージと口調が9割 で、内容はわずか10% です。

たとえば、パソコンの画面ばかり見ているようなボディランゲージでは、「熱」は全く伝わりません。モゴモゴした口調や自信がなさそうな話し方では、専門性も伝わりません。

どれだけ素晴らしいプレゼン資料を用意しても、パソコンばかり見ていたり、自信のない口調で話したりしていては、内容が台無しになり、伝えたいことが全く響かないのです。

偉そうにここまで語りましたが、「窓口」という業務は軽視されがちです。しかし実際には、一番大事な役割を担っています。コミュニケーション一つ取っても、工夫次第で成果が大きく変わるというお話でした。

僕の今後の方針としては、台湾では経験者に対してある程度の給与を提示しつつ、モチベーションを高める仕組みを整えることです。特にコミュニケーション、スピード、そして結果へのコミットを徹底させたいと思っています。

幸い銀行から融資もいただけましたので、2025年は少し強気に攻める一年にするつもりです!

以上、applemint代表の佐藤からのメッセージでした!