台湾の花屋と文房具屋に見る絶妙なターゲティング
みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は台湾の花屋と文房具屋がどのようにしてセグメンテーションをして、競争を避け台湾で生き残っているかというお話をします。
具体的には台湾の花屋と文房具屋さんはお店を立てる場所によって競争環境を変え、生存率を上げています。
このブログを読んだ後、あーなるほどねって多くの人が思うと思います。しかしいざ実行に移すとなった時に意外とやらない人が多いんです。特にオフィス勤めの人たちがこのミスを犯しがちです😅
なのでこのブログは今後台湾で事業をする予定のある方や、駐在員の方々のために書きます。会社勤めの方はこのブログを読んで、「あ、うちの会社何も考えてないかも」と思うか、「あ、うちの会社やるじゃん!」と感じて頂ければ嬉しいです😎
台湾で生の花はあまり売れない。ある例外を除いて
台湾では一般に生の花はあまり売れないと言われています。台北で花屋を営む方から聞きました。最大の理由は「コスパが低い」からではないかと、花屋の方はお話ししていました。
台湾の方は買っても数日で枯れてしまう花はコスパが悪いと感じるらしいです。そのため、通常生の花が売れるのはどこかのお店の開店お祝いか、高級店のデコレーションぐらいらしいです🌷
その一方で、いくらでも長持ちするドライフラワーはかなり売れるそうです。
そんな花屋ですが、ある場所では生の花が飛ぶように売れ、花屋が乱立しています。それは宗教施設の近くです。松江南京のマクドナルドの近くに四面佛という神様が祀られています(以下は数年前に撮った写真。現在は移転)
- 四面佛とは?
ヒンドゥー教の創造神ブラフマー。ヒンドゥー教以外の一般の仏教徒にもしばしば信仰されており、他の多くのヒンドゥー教の神々と同様に、仏教と共存するタイのアニミズム信仰における守護霊を表す。お花やお供物をすると願いが叶うと言われている。 (参考:wikipedia u003cPhra Phromu003e)
ここではお供え物として花を贈る人が後を絶たないため、建物の近くはお花で溢れ毎日のようにお供物の花が変わります。この四面佛のお供物の利益を享受しようと多くのお花屋が付近に乱立しています。要するにターゲットの近くに出店しているという事です。
「えっ、需要がある近くにお店構えるのは当たり前じゃん」って思いますよね?でもそうしない人結構多いんですよ😅 後ほど実例を挙げてご紹介します。その前に、次は台湾の文房具屋さんの面白いターゲティングと立地の話をします。
文房具屋の棲み分け
台湾にある文房具屋さんは主に3種類に分けられます。一つは鉛筆やらノートやら所謂文房具を売る文房具屋さん、もう一つはアート寄りな専門的な文具を売る文房具屋、そしてもう一つは文房具に加えて雑貨も売るような文房具屋さんです📚
今まで特に意識していませんでしたが、今回僕は普通の文具屋にはなかなか売ってない厚めの「スチレンボード」と呼ばれる文具を購入した時に、文具店のポジショニングに気づきました😃
ちなみに人によっては4種類or5種類という人もいる可能性はあります….苦笑
「スチレンボード」を購入したのはアート寄りな専門的な文房具を扱う文房具屋です。中に入った時に、僕がいつもいく文房具屋と雰囲気や置いてあるものが全然違ってびっくりしました。
仁愛路にあるアート寄りな文房具屋
僕が厚めのスチレンボードを買ったのは忠孝復興駅近くの仁愛路と呼ばれる、高級住宅街が並ぶ場所の近くにある文房具屋です。仁愛路は緑が多く道も広くて雑居ビルが並ぶ台北の街ではちょっと異質なエリアです。そんな所を歩いていると、僕はあることに気づきました😲
「あれ、おしゃれなオフィス多いな」と。その後 Google で調べると、デザイン会社がめちゃくちゃ多いんですね。下の画像をご覧ください。
真ん中に「仁愛路」と呼ばれる道があってその周辺に赤いピンがあります。これらはデザイン会社です(一つ一つ確認したわけではありませんが、名前はデザイン会社です)
僕が今回買ったスチレンボードは通常のスチレンボードより厚さが2倍ほどで、普通の文房具屋さんには置いてません。置いてあったのはこの仁愛路近くにある文房具屋さんだけでした。「なるほど!デザイン会社を相手にしているから置いているんだ」と納得しました。
松江南京にある文房具屋
その一方で、昔オフィスがあった松江南京の近くの文房具屋さんに置いてあるのはお誕生日カードやノート、鉛筆、テープやら一般的な文房具です。ちなみにここには小学校の制服も売っています。
この文房具の近くには高校と小学校が2つあります。同じ文房具屋ですが、こちらではターゲットが全然違って置いてある文具も違います。
「ターゲットが違うんだからそんなの当たり前だろ!」って思いますよね?😜
一応この話をまとめると、仁愛路にある文房具屋はデザイン会社をターゲットにしていて、松江南京にある文房具屋は小学生や学生をターゲットにしています。
或いは、デザイン会社がいっぱいある近くにデザイン専門の文房具屋を開いたとも言えるでしょうし、学校が近くにあるから、一般的な文房具屋を開いたとも言えるでしょう。
改めて自分のターゲットは誰で、どこにオフィスがあるか考える
みなさんは自分達のターゲットが誰で、そのターゲットが集まる近くにお店やオフィスをちゃんと構えていますか?家賃が安いから、或いは通勤が便利だからとかいう理由でオフィスやお店を決めてませんか?
「いや、うちは文房具屋と違ってお客を直接相手にしないから関係ない」と思っている方も多いでしょう。僕は個人的にこの考えは間違っていると思っています。
僕はある時、台湾に進出したばかりの方からオフィスの場所をどこにすればいいか相談をされました。その会社のサービスは若い女性や若い男性をターゲットとしたサービスだったので、ターゲットの近くにオフィスを構えるなら、西門町とかがいいかなーと僕は思いました。
結果的にその方は若い人があまりいなさそうな場所にオフィスを構えました。
これだとターゲットをあまり観察できないなーと思いました。USJ をV字回復させた事で有名なマーケーターの森岡毅さんは、毎日のように USJ を歩き回り、お客さんを観察しました。
「現場に答えはある」というのが彼の考えでした。仮に僕が化粧品会社の総経理だったとします。売上が下がって行き詰まったら、僕はターゲットの方が化粧品を買うような場所や現場に行ってヒントを探すでしょう。
この時にオフィスの賃貸が安いという理由で、ターゲットの女性が誰もいないような場所にオフィスを構えることはあまり合理的とは思えません。
当たり前に聞こえますが、総経理の家から近いとか、家賃が安いとか、オフィスが広いとかそういった理由でオフィスを選ばれる方は多いです。でも、今回改めて自分のターゲットを理解した上で、そのターゲットの近くにオフィスを構える事を意識した方がいいなーと思いました。
ただし、優秀な人が東京に集まるように地方にオフィスを構えると、人材問題は出てきます。
applemint は日系会社が主に集中する中山、南京復興、松江南京の内の南京復興にオフィスを構えています。うちの会計士と弁護士もいるすぐ近くにいるので、今後も多分この辺でオフィスを構えるでしょう。
今後台湾に進出する方やビジネスをする予定の方は、文房具屋花屋のように、オフィスの場所を決める際そこに自分達のターゲットがいるかどうかをきちんと考慮してみてはいかがでしょうか?