【音楽教室を運営するキャリーさんへ】競合分析をしてみた件
みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
先日 applemint lab のメンバーであり、旦那さんが音楽教室を運営するキャリーさんに久しぶりに会いました。
その時に相談というか、今後の音楽教室の運営について話があったので、今日は僕だったら何をするかというお話をしたいと思います。
結論から言うと、同じ業態でうまく行っている競合は何をしているのか見て、その真似をすればいいと思っています。
つまり、競合を分析するということです。
今回のブログでは、僕が普段するような競合分析を皆さんにお見せする事で、今後の皆さんの事業の発展に活かしてもらえればと思っています。
それではどうぞ!
ちなみにキャリーさんは僕の言う通りにする必要は全くないですよ!笑
ステップ1. 音楽教室と似た業態の上場企業を探す
競合分析をする時に、僕が一番参考にするのは同じ業態で上場している企業です。音楽教室の場合、僕は”学習塾”が一番近い業態なのかなーと思いました。
学習塾も音楽教室も教室で生徒に教えるという共通点があります。
そこで今回は学習塾で日本で上場しているリソー教育グループを参考にしました!
何を隠そう、僕は大学時代にリソー教育グループが運営する学習塾 TOMAS で英語を教えてました🤓
その当時の僕は一応テキストの内容に沿って教えていたのですが、生徒のスピーキングを鍛えるため、独自の教え方で授業をしていたら、初日から上の人に怒られました😂
しかしその当時の僕は英語の教え方に絶対の自信があったので、「あぁん?」みたいな態度で言い返したら、それ以降放置された最低教師です😅
なのでその後は問題児ばかりアサインされ、ある時はやる気のない問題児に、「時間とお金の無駄だし、やめればいいじゃん」と言って、生徒が本当にやめるという実績を残しています😱
全然どうでもいい話ばかりしましたが、ステップ1は、似た業種で上場している企業を探す事です😅
ステップ2. 利益率を確認
次に、似た業種の利益率を確認します。上場企業は丁寧に財務資料を公開しています。
リソー教育グループの2021年度の売上高は25,201,586 (千円)でした。売上に対して原価は19,096,483 (千円)で、経常利益率は24% (粗利)です。
ここに給与などの販管費 5,094,502 (千円) が加わり、最終的に営業利益率は4%でした。
ただし、2021年度はコロナの影響もあるので、念の為他の年を見ると営業利益率は 10%ほどでした。
つまり、音楽教室を運営するなら営業利益率は5-10%は確保した方がいいと僕なら判断します。
音楽教室は学習塾よりも楽器購入の負担が大きそうですね。
もしも自分の音楽教室の数字がこの数字に似ていなければ、僕は少し問題と捉えます。
次に、学習塾はどのように売上を立てていて、その業界はどんなトレンドなのか、見ていきます。
ステップ3. 競合の儲け方を探る
ステップ3. は競合の儲け方を調べます。上場企業の決算短信や有価証券報告書には必ず最初の1-2ページに“概要”が書いてあります。
これは絶対読んでおいた方がいいです。これで業界のトレンドや現状を把握します。
ちなみに日本語/中国語/英語を読みたくない人は DeepL の有償版をお勧めします。
DeepL の無料版を使って文章をコピペしてもいいですが、有償版を使うとPDFファイルを一括で翻訳できます。
概要の他に見たいのが事業内容です。有価証券報告書によると、TOMAS の事業は以下です:
リソー教育グループは、基本的に人材を用いた幼児教育や、受験のための教育事業が中心となっている事がわかりました。
つまり、リソー教育グループは学習塾というコア事業を軸に、教育ビジネスを横展開している事がわかります。
これを音楽教室に応用するならば、音楽教室は以下のような事業を展開をするといいかもしれないと思います:
- 音楽教室(コア事業)
- 幼児向けの音楽教室(言語教育を混ぜたリトミックなど)
- プロを目指す人向けの音楽教室
- 音楽講師の派遣
- オンライン音楽教室
キャリーさんは日本語がクソ上手いので、日本語と音楽を混ぜたレッスンを強みにしてもいいかもしれませんね。
あと、リソー教育は2021年11月に株式の約9%を不動産仲介業のヒューリックという会社に売却しています。
恐らく、ヒューリックが持つ物件で授業をする事で、キャッシュを関係会社間で回すみたいな狙いがあるのかなーと思います。
また、学習塾を少し調べると、日本では教室での授業はどんどん個別指導にシフトしている事がわかりました。その一方で、オンラインは大多数を相手にしている事がわかりました。
コロナウイルスによって、教室で多くの生徒に授業をすると感染リスクが高くなるため、集団指導から個別指導にシフトしていったのでしょう。
しかし、個別指導にすると、授業単価を大幅にUPしないと売り上げ効率は悪化し、売上は下がるでしょう。
そこで、理想はオンラインによる団体指導と個別指導のミックスである事がわかります。
ここまでをまとめると、学習塾は”教える”という事業を軸に横展開しつつ、オフラインの個別指導とオンラインの集団授業を組み合わせている事がわかって来ました。
ステップ4. ポジションを決める
次に僕だったら自分のポジションを考えます。調べるとリソー教育グループの TOMAS は個別指導の進学塾というポジションを狙っているみたいです。
っていうかよくよく考えると、僕みたいな人間は確実に”進学”塾には向いてなかったと思うのですが…
これをキャリーさんの音楽教室に置き換えると、キャリーさんの音楽教室のポジションは以下かなーと思います:
このポジションの定義に正しい/正しくないはありません。ポジションを明確にすると、誰をターゲットにするか明確になって、コミュニケーションがしやすくなります。
TOMAS なら、「1対1に強い受験指導」とコミュニケーションできますし、キャリーさんなら社会人を相手に、「あの頃夢だった楽器を1対1で学ぼう」と、言えます。
ポジショニングをするとターゲットが明確になり、コミュニケーションがしやすくなります。
あと、ポジショニングをする時に大事なのは自分達の強みを理解し、自分達の強みが活かせるポジションを取る事です。
TOMAS は1対1の受験指導に強いから「1対1の受験指導」ポジションを取っているのでしょう。自分たちのポジションで戦うと、戦いがしやすくなります。
僕はこれを、自分の土俵で戦うと表現しています。
是非試してみてください。
ステップ5. 売上の分解
最後に自分達の売上を分解して、売上を伸ばすためのポイントを明確にする事をお勧めします。
僕が思う音楽教室の売上式は以下かなと思います:
売上 = 生徒数 x 生徒の平均単価
すごい単純なのですが、こうして文字にすると何をすればいいか見えてきます。上の式なら、音楽教室の売上は生徒数と生徒の平均単価を上げれば増えます😅
次に自分達のポジションを考慮して、どちらを伸ばすのがいいか考えます。
例えばプロ向けの個別指導というポジションを取るなら、生徒の平均単価を上げるといいでしょう。しかしそうするとプロを目指す生徒はそんなにいないので、生徒数は減ります。
もしもプロ向けの個別指導というポジションを取りつつ、生徒を増やしたいなら、オンラインで海外に進出するというアイデアもあります。
当たり前ですが、この計算式は業界によって異なります。
広告代理店の典型的な売上式は以下です:
売上 = 広告主の広告予算 x 手数料
また、利益の計算式も作るといいと思います。音楽教室の利益の計算式は以下みたいな感じだと思います。
売上 = {生徒数 x 生徒の平均単価} – 楽器代 – 先生への給与 – 家賃
利益の計算式を作れば、改めてどんなコストを減らせばいいか明確になります。
まとめ
まとめると、キャリーさんの次のステップは以下だと思います:
- 自分達のポジション/ターゲットを決める
- ポジションを基にどう横展開するか考える
- 次の横展開に沿ってお金(資源)の分配 (allocation) を考える
- 計算式を基に売上が上がるポイントと強化するポイントを定義する
経営者は刻一刻と変わる状況に応じて#1-3 を、繰り返し考えているかなーと僕は勝手に思っています😅
最近実務に入りすぎて#1-3が疎かになっているのが少し怖い所…
以上 applemint 代表佐藤からでした!
それでは、Good luck!