【今すぐ実践できるビジネス講座】心理学、行動経済学の応用
みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は今すぐ実践できるビジネス講座というテーマでお話をしたいと思います。僕が最近読んだビジネス本や雑誌の中で、「これはみなさんの参考になるんじゃないか?」と思った話をします!
今から紹介する事例の中には、僕も実際に使ってみようと思っているものもあります。
是非みなさんの参考になれば幸いです!
〇〇しようとしてお客さんからの問い合わせが増えた事例
『影響力の武器』という本があります。学びはすごい多いのですが、典型的なビジネス本というかページ数が多いので、集中して読まないと一瞬で眠くなります😅
この本の中で、社会的証明に関する記述が面白かったのでご紹介します。
社会的な証明
結論から言うと、「人は社会的に認められているものや、他者が評価しているものを好む」という内容です。これだけだと当然に聞こえるので、僕が「面白い!」と思い、実践してみたい事例をご紹介します。
ある企業は顧客増加に伴い人員を募集しました。その際、広告に「事業急拡大により人員募集」と書いたところ、人材応募だけでなく企業からの問い合わせも増えたそうです。
彼らはその年自動車業界の売上が全体で4.4%下がった中、ほぼ1.5倍の売上UPを達成してしまいました。
理由は「社会的証明」にあります。
この広告を見た企業の人は、以下のように考えました:
- この企業は事業を拡大しているなら多くの企業が依頼をしているに違いない
- この企業はみんなが依頼しているのだからいい会社に違いない
- だったらうちもお問合せをしてみようと
これがカラクリです。
“人気”の社会的な証明
以前少し話しましたが、あるレストランで、メニューの商品に「当店の一番人気」と書いただけで、対象としたメニューの売上は平均で13-20%増えたそうです。
これは「当店の一番人気 = みんなに認められている = 美味しいに違いない」と多くの顧客が感じたためです。
先日お話しした、僕らの元を去った某コスメ企業に対して、僕たちが「HPで人気商品を指定した方がいいですよ」と提案したのは、このような背景がありました。
人は、自分がわからないブランドほど、どれを買ったらいいかわかりません。その結果、僕らは人に選んでほしいのです。『欲望の見つけ方』という本にも同じようなことが書いています。この本には以下の様な言葉が出てきます:
ジラールは、私たちが多くのものを欲するとき、それは生物学的な誘因や純粋な理性によるものでもなければ、幻想に惑わされた自分自身の命令によるものでもなく、真似によるものである事を発見した。
参考:『欲望の見つけ方』
わかっているのに応用出来ない
つい先日、台北アートフェアに行ってきました。当日気に入った作品は以下のバタフライの作品ぐらいで、他はそこまでピンときませんでした。
今回の展示では、珍しく小さな写真も割とあり、出展者の”販売したい”意思が感じられました。
もう少し補足すると、出展者は出展するからには皆、もちろん販売したいのですが、それ以上に出展費用や人件費、運搬費を差し引いて利益を出したいという気持ちが強くなります。
その結果、出展者は価格の高い大きな作品を展示しがちです。しかし今回は、リーズナブルで小さな作品も多く見受けられた印象を受けました。
話を戻すと、出展ブースの中には、真ん中にどかーんとテーブルを置き、3~4人の出展者がどっしりと座って構えるようなものもありました。正直に言うと、作品があまり売れていないのに、何をしているんだろう…と思うこともありました😅
僕が出展費用を出していたら、絶対もっと必死になっていたと思います。それこそ自分が作品を見ているほうがまだいいと思います (人を雇ってお客さんのフリをするのは問題でも、自分が作品の前に突っ立って見るのは問題ないかと😅)
『影響力の武器』によると、”サクラ”という概念が出たのは、1800年代のオペラショーで、その当時は内部の関係者に対してコンサート後に拍手をさせていたそうです。これにより来場者に、「他の人が満足しているなら、きっと良いコンサートだったに違いない」と感じさせていたそうです。
サクラを雇うような行動は近年批判されているため、気を付ける必要があります。ポーランドで iPhone の販売を担当した某企業は発売日にサクラを列に並ばせたことが発覚し批判を浴びました。
とはいえ、アートフェアではその一歩手前ぐらいの駆け引きや努力はもっと出来ると思いました。作品が売れていないのに、ガラガラのブースでスタッフがどかっとテーブルに座り、入りにくい雰囲気を出すのは意味がわかりません…😅
マーケティングの設計
マーケティングは「売る仕組み」を作ることだと僕は理解していますが、どうすればその仕組みは作れるのでしょうか?
日経クロストレンドで紹介されていた『刀』と『ニップン』のケーススタディが、とても分かりやすく実用的だったのでご紹介します。前回のブログでお話しした内容を、もう少し具体的に深掘りします。
まずは以下をご覧ください:
基本的に、上の表の “重点”と書かれた部分の商品やサービスを開発できれば、売れると考えていいです。
そうすると、マーケティングのファーストステップは「消費者が求めるもの」を理解することです。ただ、これが簡単に分かれば誰も苦労はしませんよね😅
では、どうすれば消費者が求めているものを理解できるでしょうか?それは、自分が欲しいと思うものや、最近知り合いや親戚が欲しがっていたものから始めても良いと思います。
例えば、最近発売されたアサヒビールのアルコール分3.5%の『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』は、アサヒビールの社長が「ビールは好きだけど、年齢を重ねてアルコールをあまり飲めなくなった父のために開発したい」と考えたことがきっかけだそうです。
アルコールが弱い僕も飲んでみましたが、5%のビールとほぼ同じ味で驚きました 😲
次に、自分の強みや競合が真似できないことを理解し、どのように自分の強みを活かしながら消費者が求めているものを開発できるかを考えます。このとき、消費者とのコミュニケーション (何を訴求するか) も併せて検討します。
実践
では、これをいざ実践します。ニップンが発売しているのは、乾燥パスタと冷凍パスタです。当時、多くのメーカーが利便性を重視し、おいしさを前面に出して訴求することはほとんどありませんでした。
しかし、刀は消費者との対話やインタビューを通じて実際には消費者が「おいしさ」を求めているのでは?と気づくに至ります。
さらには代表者が自らパスタを作ってパスタを研究した結果、パスタは麺によっておいしさが全然変わる事に気づきました。当たり前かもしれませんが、普段パスタを食べない僕らはソースよりも麺を軽視しがちです。
僕も先日久しぶりに美味しいパスタを食べましたが、麺が見た事ない種類のものでその際に改めて麺の重要性に気づきました。
これらを考慮しマーケティング支援会社刀は、以下のようなプランを立てました。
これが結果的に当たりました。
インタビューの重要性や研究の重要性を再認識しました。
人は歳をとるほど親に似る
最後にちょっとしたトリビアをシェアします。人は歳をとるほど親に似るという話です。
行動遺伝学という、遺伝子が行動にどう影響するかを学ぶ学問があるのですが、その研究によると、人は歳をとるほど親の遺伝子の影響を受け継ぐんだそうです。
行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」
子どもの頃の方が親の遺伝子を強く引き継ぐのでは?と、なんとなく思ってしまいませんか?例えば親が勉強嫌いで、子どもが勉強嫌いだと、なんとなく遺伝を受け継いだのかもしれないと思うでしょう(僕はそう思っていました😅)。
でも、実際はそうではないようです。
なので、もし「学生時代はよく勉強していたけど、社会人になったらあまり勉強しなくなった」という人がいれば、それは社会環境の影響だけでなく、もしかしたら親が大人の頃にあまり勉強していなかったことが影響しているのかもしれません😊
以上、applemint 代表佐藤からでした!