【経営者目線で語る】台湾就職の難しさ~なぜ日本人の台湾就職は難しいのか?

こんにちは、applemint 代表の佐藤です😎

今日は標題の通り、日本人が台湾で働く事の難しさについて、台湾で会社を経営して早5年が経った僕がお話をします。なお、このブログは 2022年8月現在の台湾就職について語ったブログです。

1年後は状況が変わって日本人の就職難易度は変わっているかもしれません。先に結論だけ言うと、2022年8月現在日本人が台湾で就職するのはどんどん難しくなっていると思います。その理由はコロナだけでなく、円安もあります。

円安は物価上昇に影響するだけでなく、日本脱出にも影響したりします。今日はその辺のお話を経営者目線でお話し、ブログの最後には僕だったらどんな人材が欲しいかお話をします。

「お前の会社なんて入らねーよ」と思うかもしれませんが、僕のように考える日本人経営者は台湾に結構いるはずなのでちょっとは参考になると思います。

それではどうぞ!

前提:大多数の日本人は日系の会社で働く

まずは大前提として日本人の多くは台湾で働く事になった場合、日系の会社に勤めるという現状についてお話をします。その理由は3つあります。

  1. 言語
  2. 日系企業の方が日本人のニーズがある
  3. 日系企業の方がお金を持っている

もしもこれをご覧の方が中国語が流暢で、「俺/私は台湾の企業でも外資でもどこでもいけるよ」というのであれば、今すぐこのブログを閉じてもいいです。

もしもこのブログをご覧の方で、中国語にあまり自信がなければ、このブログを続けてご覧ください。中国語が出来ないと台湾の企業への就職や外資系への就職は難しいでしょう。外資と言えど台湾では内部のコミュニケーションは大抵中国語で行われます。

また、台湾の企業も外資の企業も日本進出のニーズがない限り、日本人のニーズはあまりありません。その他に、台湾の企業はそもそも日系企業よりお金がない場合が多いです。

海外に進出を果たしている台湾の企業はほんの一部で、ほとんどは人口2300万人の市場で商売をしています。人口1億人の市場で戦っている日系企業のほうがお金がある事は確かでしょう。

また、このブログの中盤でお話をしますが、外国人が台湾で労働許可証を得るには、通常ある一定の給与が必要です。しかしその給与を払えば日本語ができる優秀な台湾人スタッフを雇えるため、わざわざ「日本人」を雇う必要性がなかったりします。

これらの前提をインプットした上で、日本人が台湾で就職するのがなぜ難しいのかより詳しくお話ししていきます。

円安の影響と給与の問題

2022年8月3日現在、円安がすごい事になっています。日本円は対ドルだけでなく、台湾ドルに対しても円安で、日本人にとって台湾はもはや安い国ではありません。

円安によって、僕みたいに台湾で台湾ドルを稼ぐ会社の経営者は、日本人を台湾に呼び寄せて雇うより、日本にいる日本人に外注をする方がリスクが低くて安いと考え始めます。というか実際そうなってます。

また、日本人が台湾で受け取る給与も台湾就職の弊害の一つと言われてます。台湾で日本人が働くにはまず労働許可証の取得が必要です。これを得るためには、大抵の場合約48,000NTD の給与を会社が日本人に支給する必要があります。

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理由を話すと長くなるので割愛します。

48,000NTD は、2022年8月3日現在、日本円に換算すると20万円程度です。

「なんだ20万円か。楽勝じゃん。雇ってよ。」と思いますよね?48,000NTD は日本人の方が考えるよりも大きな人件費です。某記事では台湾の平均月収は43,211NTD と言われています。

ちなみに日本の平均月収は 27万400円とコチラの記事に書かれています。では、日本で月に27万円以上をもらっている人はどれくらいいるでしょうか?

日本人が台湾でもらう給与は、例えるなら日本で27万円以上もらうような感じなんです。そう考えると48,000NTD はなんだか少しだけ高い給与に感じますよね?その感覚は間違っていなくて、台湾では平均給与以上を払えば日本語を話せて、経験もある優秀な台湾人を雇えます。

つまるところ、円安が日本への外注を容易にしている事、そして台湾にある企業が日本人に対して払わなければいけない最低限の給与という2つの要因が、台湾で就職を希望する日本人の就職難易度を上げていると僕は考えます。

労働許可証発行への道のり

次にあまり語られない労働許可証申請のコストについてお話をします。外国人の労働許可証申請は会計事務所に外注すると大体3万NTDかかります。自社ですることも可能で、人事部があるような大企業はよく自分達で申請します。

ただし、自分達で申請する場合は人件費がかかっています。書類の手配は面倒で、提出書類は10種類以上あります。提出書類の中には採用者に手配をお願いする書類もあり、その中には経歴書や在籍証明書が含まれます。

経歴書には審査に通りやすいと言われる経歴書の書き方があり、それを知らずに経歴書を出す方が大半なので、会社側で調整が必要になります。経歴書の中国語翻訳も必要になります。これら全てには人件費がかかっています。

台湾就職希望者の中には離職時に在籍証明書を取ってない人も多く、勤めていた会社が潰れていたりすると厄介です。

leo

退職時に退職代行に退職を頼むと、在籍証明書の手配も退職代行業者さんに頼む必要が出ますね。

このように雇用する側は日本人を雇うとなると、最低でも3万NTDの費用が余分にかかると考えていいでしょう。

日本人と台湾人比率の調整

次に、もう一つあまり語られない社内の国籍比率についてお話をします。台湾では、企業の外国人の比率が台湾人を超えると、外国人の労働許可証が下りにくいと言われています。

例えば10人の会社に5人の日本人がいる場合、11人目に入社する人が日本人だと、労働許可証が下りにくいという話です。

あくまで台湾の経営者の間での噂ではありますが、例えばシンガポールでは自国民の就職を守るため、度々外国人へのビザの発行を制限します。そう考えると、台湾もシンガポール同様、自国民の就職を守るため外国人の就職を制限するのはとても自然な事です。

ちなみに余談ですが、僕がアメリカに住んでいた20年前、僕の母は周りがオール日本人の小さな日系企業で働いていました。今はどうか知りませんが、アメリカはそもそも移民の国なので、ビザをとってしまえば、そこにどんな国籍の人が何人いようが関係ないのでしょう。

台湾で会社を一応経営している僕が求める日本人の人材像

最後に、このブログをご覧になった上で台湾就職にチャレンジしたいという方へ、僕から経営者目線でこういう方だったら台湾で就職ができるのではないか?というお話をしてこのブログを終えます。

アドバイスは2つに分けてお話をしたいと思います。1つ目は僕だったら採用をしない日本人像と、2つ目は僕だったら採用を考える日本人像です。採用NG な人材像もお話しする理由は、今から述べる NGな行為を避ける事で、台湾就職がより近づくと僕が思っているからです。

僕だったら採用NG な方

中国語が出来ない方n中国語が出来なくて、英語も出来ない方nコチラの採用コストを理解出来ない方n台湾の就職事情について勉強不足の方n気軽に時間が欲しいと言う方

僕だったら採用を考える方

中国語が出来る方nコチラの採用コストや時間を理解できる方n直接応募してくれる方(会社を熱心に調べてくれる方)n日本語が喋れる台湾人より自分は価値があると証明できる方n(僕だったら)applemint lab に入ってる方

というか採用OK な方の人材像を挙げていったら、こういう人はそもそも日本でも相当優秀なはずなので、よほどの事がない限り給与を落として台湾に来ないだろうなー、と一瞬思いました😅

「中国語が出来なくてもOK」という日系企業は台湾にありますが、経営者的には中国語が話せる人がベターである事は変わりありません。また、僕的にちょっと NG な方をお話しすると、「お話するお時間いただけますか?」と気軽に言ってくる方です。

経営者や上のポジションにいる方は激務です。僕がシンガポール大学院留学時代に知り合った元BCGのコンサルで、現在某外資系企業の日本/アジアチームのトップをしている友人は、僕と台湾であった際「僕らって残業の概念ないよね?やろうと思えばいくらでやる事見つかるし」と言ってました。

経営者やリーダーは時間に追われてます。そんな人に気軽にお時間くださいという人はマーケティングで大事なコミュニケーション能力に欠けているので、僕としては NG です。

leo

ただ、他の人はそうとも限りません。僕は職業柄NGというお話しです。

ただ、どの会社に応募することになっても1つだけ共通している大事な事があって、それは「自分は台湾で平均給与以上をもらう価値がある人材です」と証明する事です。それが出来れば中国語が出来なくても台湾就職は可能でしょう!

以上 applemint 代表佐藤からでした!