【売上下がるの覚悟で言います】台湾に進出する通販企業がうまくいかない真相

こんにちは applemint 代表の佐藤です😎

このブログは今後台湾に進出しようと思っている通販企業様や、既に台湾に進出した通販企業様向けに、僕の会社の売上が下がる事を覚悟で僕が知る限りの台湾進出の真相についてお話をします。

綺麗事は一切抜きです。

2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領はウクライナへ軍事侵攻を決定しました。それから10日ほど経ち、現在ロシアは世界中から非難されています。特にプーチン大統領への批判は相当なものです。

僕はこの戦争がベトナム戦争のような不幸な戦争になると思っています。勝者なんていない、死者だけが出たあの虚しい戦争です。どうやら人類は歴史から学ばないようです。

同じ事は台湾に進出した通販企業にも言えると思っています。日系通販企業の台湾進出ブームは2016-2018年で、あれから早5-6年経ちました。残念ながら未だに多くの企業が同じ失敗を繰り返しているように見えます。

Owndays の田中社長はよくメディアで「成功に再現性はない。でも失敗にはパターンがある」と言っています。この意見にはとても同感します。だから僕は成功よりも失敗にフォーカスします。

台湾に進出してうまく行かない通販企業には共通点があります。このブログではその失敗の共通点について3つ話します。僕は台湾成功の鍵は失敗回避だと思っています。

繰り返しになりますが、このようなブログは自分自身の首を絞める事になるため、本来なら有料コンテンツの applemint lab に書きたい所ですが、僕は自社の売上を犠牲にしてでも切実に1社でも多くの日系企業が台湾で成功してほしいと思っているので無料公開します。

偽善者とかではなく、成功事例が増えれば長期的には僕らにとってベネフィットがあるためです。比較的長文になりますが、絶対に読む価値があると思っています。

結局台湾現地化が一番の近道

僕は Sony の創業者、盛田昭夫氏が生前に残した好きな言葉があります。ちょっと共有させてください。

グローバルになるには、その他のインサイダーにならなければダメだ。現地法人を作り、現地の人間を雇い、そして現地の一流の人間を社長に据えて初めてその国のインサイダーになれる

-Forbes JAPAN 2022年03月号より

何十年経っても色褪せない言葉です。僕は台湾で2017年に50万元の資金で会社を始め、2022年に5年目に突入しました。会社は6人で、そのうち日本人は僕を含めて3人いますが、社内の公用語は中国語にし、日本語の使用を極力禁止しています。

それは僕がローカライズこそが成功への一番の遠回りであり、一番の近道だと信じているからです。Sony をグローバル企業に育てた盛田氏が言うなら信じます。

失敗のお話をする共有する前に、台湾及びグローバルに成功するには失敗を避けると同時に、盛田氏が言うように現地化は必須だと僕は個人的に思っています。

失敗その1. 丸投げ

台湾にペーパーカンパニーを置いて、現地の広告代理店にすべて丸投げをする会社は多いです。広告代理店の自分が言うのもあれですが、これでは残念ながら広告代理店や台湾進出支援会社やコンサル会社ばかりが儲かり、メーカー側は儲かりません。

確かに台湾にペーパーカンパニーを置いて広告代理店に丸投げするのは楽です。しかしこのやり方は何も現地化しておらず、世界の Sony をグローバル企業に育てた盛田氏の言葉に反します。何より手数料がかかりすぎて利益が出ません。

台湾に現地法人を置いて、台湾進出支援会社に台湾事業を全て丸投げした場合のお仕事をリストアップします。

台湾事業継続に必要なお仕事

カート機能nコールセンターn倉庫nフルフィルメントnカートと倉庫の連携nデジタル広告nデジタルマーケティング/CRMn輸入手配

これらにかかる手数料を全て払っていたら、利益なんて出ない事がわかりますよね?

全部自分でやれとは言いません。しかし自分達でやるべき事と広告代理店に任せる事を区別するべきです。さもなければ上記のお仕事をいつまでも全て丸投げしてたらいつまで経っても利益は出ないでしょう。

今 applemint では台湾でとても成功しているナショナルブランドさんのお手伝いをしていますが、その会社さんはコールセンターを自社で構え、輸入手配は自分達で行い、倉庫やフルフィルメントは自社のスタッフを通して第三者にお願いしているようです。

台湾でうまくいっていない通販企業の大半は全ての台湾事業を進出支援会社に丸投げしています。これが失敗する通販企業の共通点1つ目です。

leo

日系企業の台湾進出を支援し、そこからマネタイズをしている僕がどんな気持ちでこれを書いているか察していただけると幸いです。

失敗その2. 越境EC

Sony の盛田氏が提言するように、現地に会社を立てて、現地でスタッフを雇うローカライズは急にはできません。というか、かなりのコストがかかるので長期的な視点がないと難しいです。そこで多くの企業はお手軽な越境ECからスタートしようとします。これがあまりうまく言ってません。その理由は2つあると思っています。

  1. 越境ECのリスクは高い
  2. LP を作って広告を出してテストするには資金がかかりすぎる

まず#1から話します。台湾向け越境ECのリスクは年々上がっています。その背景には台湾の越境ECに対する規制の強化があります。規制について詳しく知りたい方は以下のブログをご覧ください。台湾向け越境ECをされている方は必読だと思っています。

内容を要約すると、今後台湾の消費者が海外で商品を購入する場合、ほぼ必ずEZWAY というアプリを使って何を買ったか申請しないといけないという事です。7日以内に申請をしなかった場合、商品は強制的に送り返されます。送料は当然メーカー側の負担です。

ちなみに通販企業は利益を出すには「リピート購入」が鍵になります。越境ECだと EZWAY の規制強化によって、定期購入を選んだ人は購入するたびに EZWAY で申請が必要になります。毎月 Netflix の購入手続きをしないといけないようなものです。最悪ですよね?

定期なき通販はもはやビジネスモデルを変える必要があります。

台湾向け越境ECを支援する会社はこの事をなかなか共有してくれません。なぜなら越境ECをする会社が減れば自分達の売上が下がるからです。でも僕はこのブログでお伝えします。台湾向け越境EC通販はかなりの確率で失敗しています。

次に#2の「LP を作って広告を出してテストするには資金がかかりすぎる」についてお話したいと思います。ただしこれは越境ECに限らず現地に進出した通販企業も同じなので次の章で話します。

失敗その3. LP だけのデジタル広告

マーケティングを少しでもかじったことがある人なら「バイヤーファネル」はご存じだと思います。消費者はまずブランドを認知し、その後比較検討を行い、購入に至るという一連の流れを示したものをバイヤーファネルと言います。

参考:https://blog.hubspot.jp/marketing-funnel

従ってまずはブランドの認知が重要なのですが、日本から進出した通販企業は CV も欲しいため通常運用型デジタル広告を行います。

広告代理店はその運用型広告の一部を手数料として受け取るため、当然デジタル広告を勧めます。

その結果、最初の半年ぐらいは日本とは比べ物にならないぐらい悪い CPO になります。なぜこんな事が起きるのでしょうか?僕は台湾に進出した日系企業は「広告をかけて優れた LP があれば購入してくれる」、「LP で定期の魅力を伝えられる」と思っているためと考えています。

そのため、LP は所謂日本式の縦に長いびっしりコンテンツが詰まった LP を作り、使い勝手の良いカートや、離脱を防ぐポップアップなど LP に色々な機能をつけてコンバージョン率を上げようとします。

それが悪いとは思いませんし、実際にそれらの機能によってコンバージョンが改善した例は存在します。また、運用型広告や広告を大量に投入して認知度を急激に上げて、成功をしている会社もいます。以下のブログでご紹介した ONE BOY はとんでもない広告予算で短期間で一躍有名なブランドになりました。

しかしみなさんには1ヶ月に何千万円も広告予算はあるでしょうか?恐らくないでしょう。ここでお伝えしたいのはコンテンツが LP しかない企業が広告から始めると割と失敗しているという事です。

みなさんのブランドは創業して商品が出来た後にすぐに何千万円も広告予算をかけていたでしょうか?台湾進出は商品を開発したての頃を思い出すといいと思います。

じゃーどうすれば良いのか?

僕が思う台湾で成功するためにやるべきことは3つです。1つ目は台湾進出支援会社に全部丸投げしない。2つ目は丸投げしないために現地に会社を置いて、自分達でやれる事をやる。3つ目は広告をしなくても売れるような仕組み、広告をしなくても商品やサービスを認知してくれる方法をまず考える事です。

要するに、上記で挙げた失敗例3つを一つずつでいいので、避けるという事です。

ちなみに applemint は台湾進出を支援する会社がひしめきあう中で生き残ったの理由はコンテンツです。今回のようなぶっちゃけコンテンツや ブログコンテンツの SEO、Youtube を通して、おかげさまで多くの方に信頼を頂きお問合せを頂いています。

広告は信頼がある程度確立された大企業がするやり方です。Netflix や Disney+、任天堂が大量の広告をして売上につながるのは、彼らの商品がグローバルに認知され信頼されているからです。

一方、日本から台湾に進出した通販企業はどうでしょうか?大抵の台湾人は台湾に進出したばかりの企業や商品名を聞いた事もないでしょう(みんな言いませんがこれが現実なんです…)

しかし多くの企業は「日本で売れているから台湾でも信頼される」、「日本のものは信頼されている」「日本No.1と書けばいい」と思い、広告を打てば売れると思ってしまいます。

広告代理店や台湾進出支援会社も広告の手数料からマネタイズをするので広告を否定しません。ここで広告代理店を経営する僕から捨て身覚悟でアドバイスをさせてください。

台湾に進出したばかりの日系通販企業がまずやるべき事は LP を作ってデジタル広告ではありません。なぜか?LP を作ってデジタル広告をしても「信頼」に繋がるとは考えにくいからです。何なら最初は LP なんて使わず momo とか ECモールの方がいいと思います(定期の導入はある程度信頼を得てからでもいいのでは?)

残念ながら信頼はすぐに得られるものではありません。だからこそまずはコストを抑えるのが重要なのです。また、費用をかけるのは信頼に繋がる施策です。僕は個人的にこれがデジタル広告ではないと思います(いきなり1,000万円以上の予算をかけれない限り)

applemint はそうやって台湾で顧客を勝たす事を第一に考えた結果、まずは顧客と一緒にコンテンツを作るという結論に辿り着きました。コンテンツは短期的に結果が出る事はなく通販企業が一番嫌いな施策です。

その一方で弊社のアドバイスを真摯に受け止め、その当時ジリ貧で広告予算なんて全然なかった KARADA factory さんは弊社とコンテンツを一緒に作りV字回復しました。KARADAさんは今では Youtube コンテンツを毎週制作し、スタッフの顔が見える信頼できるブランドになってきています。

今後こういう台湾の裏のお話は applemint lab でしか共有しません。

もしもこのブログの意見に共感し、何としてでも台湾で生き残りたいと思った方は是非 applemint までご連絡ください。弊社も全力で貴社をサポートします。