【お金の流れで見る】企業の失敗パターンと戦略的な透明性確保
こんにちは applemint 代表の佐藤です😎
今日はお金の流れを見ると歴史は繰り返すというお話と、繰り返される失敗の歴史に対して、今後僕らは戦略的に透明性を確保する事が大事じゃない?というお話をします。
以前から何度もしつこくお話をしてますが、僕は再現性の低い成功話にはあまり興味はなく、それよりも失敗話に非常に興味があります。成功って大抵は流行りで、流行りは分解するのがすごく難しくて再現性が低いと思っています。
例えば日本でタピオカが流行った要素を一つ一つ分解して説明するのなんて不可能じゃないですか?🧋🧋
タピオカをもう一度流行らせろ!というのも結構無理難題です。
同様に2016年に台湾ではインフルエンサーや KOL を使ったプロモーションがものすごい効果を上げ、ものすごく流行りましたが、今はどうでしょうか?
タピオカもインフルエンサーも両者とも再現性がなく、一時的なブームで終わっている感じです。その一方で失敗はパターンがあって再現性があるから面白いんです。なので大事なのはどうやってバズるかよりどうやって失敗しないかです。
残念ながらそれでも過去の成功に囚われ、現在では失敗になった施策を繰り返す人が多いです…
今日みなさんにお話ししたいのは、「お金の流れ」を見ると滅亡(失敗)する国には共通点があるという話です。そしてこれは企業にも応用できるお話です。経営者の方は、今から僕は話す失敗を避け、サラリーマンの方は、自分が勤める会社で今からお話する内容が垣間見れたら転職のご準備を😂
国が滅ぶのはいつだって税制が問題
古代エジプトもローマ帝国もナポレオン時代のフランスも国がダメになる時は大抵税制が影響しています。古代エジプトの繁栄は優れた税制にあると言われています。
古代エジプトは中央集権型で、中央政府が徴税や国の行政権を握っていました。その当時のエジプトでは徴税の業務を行なっていたのは書記と呼ばれる官僚でした。
この官僚は識字率が低かった大昔に文字が読め、徴税するために必要な計算も出来た大変優秀な人達でした。その当時のエジプトでは土地は国が所有していて、国民は国から土地を借りて農業を営んでいました。
そのため書記はまず農業者が借りている土地の広さを算出し、その土地で実際に取れた作物の収穫高や輸出入した量、奴隷の保有数を基に税金を決めてました。
国が滅びるパターンその1. 徴税者が不正を働く
国が滅びるパターンの1つ目が徴税を行う人が不正を働く場合です。エジプトの例場合だと書記が過度に徴税をし、一部を自分の懐に入れるみたいな不正です。所謂横領ですね。
今も昔も横領は絶えませんが、当時繁栄を極めたエジプトではファラオが、書記を監視する委員会を立て、書記が不正を行えばアラビアに追放するという厳しい罰則を設けていました。このおかげで書記による不正は少なく、国は安定した税収入を得ることができ発展しました。
しかしエジプトも末期は悲惨で、ファラオのコントロールが効かなくなり、書記が税金の横領を始めます。書記の横領に気づかない王は納税額が減り、国民に更なる重税を求めました。すると国民の不満が爆発し、彼らは国を出て国が衰退しました。いろいろ諸説はありますが、エジプトが破滅した理由の一つがこの徴税者の横領が増えた事と言われています。
国が滅びるパターンその2. 仲介業のマージン
古代ローマも結局滅びた原因は税制にあったと言われています。古代ローマはその武力から紀元前200年から紀元前150年ぐらいまでヨーロッパの色んな所を占領しました。その当時のローマ帝国は他国を占領しては占領地から課税をしていました。
ただ、占領地から課税と言っても最初は無理に課税をするようなことはなく、今まで通りの方法で課税をし、国民の不満もなく安定した税収がありました。しかしローマ帝国は調子に乗ってしまいます😂
占領地に「収穫税」という税金を課し、更なる税収アップを求めました。この収穫税は徴税請負人という人が徴税業務を行いました。彼らは国に5年分の税金を先に払う見返りに、国から税金のディスカウントをもらいました。
大きな資金がいるため、人々は結託して徴税請負人になりました。これが世界初の会社と言われたりもします。
ローマ政府は5年分の税金が先に手に入るので短期的には最高ですが、長期的にはディスカウントした税金をもらうので減収です。また、徴税請負人は儲けを増やそうと、国民の代わりに5年分先に税金を払う代わりに、国民から税金を徴収する時は手数料を上乗せしました。
その結果国民の不満が爆発し、各地で蜂起が起きます😂 このままではやばいと思ったローマ政府は請負人を撤廃しようと動きましたが、その結果先払いでもらえた5年分の税収がなくなり、政府の財政が厳しくなりました。
そこで彼らは税収が減った分お金を刷ってばら撒いたのですが、これがハイバーインフレに繋がりローマ帝国は破滅したという話です。
スイス人のフランス財務総監の勇敢な行動
このように国が滅ぶのは決まって徴税を行う仲介人が問題になっている場合が多いのですが、人々は中々学びません。最後にフランスのお話をします。
フランスもローマ政府同様、財政が悪かった国の一つです。あのギロチンで処刑された有名なルイ16世の時代は借金が30億リーブルありました。(当時のフランスは国家収入が2億6000万リーブルで利子が2億リーブル😱)
ルイ16世はこの借金をなんとかしようと、スイス金融にコネを持つジャック・ネッケルという人物を財務総監に抜擢します。
ネッケルはとても優秀な人で、本気でフランスの財政を立て直そうとしました。フランスはその当時ローマ政府同様に徴税請負人制度を行っていて、一部の貴族が仲介手数料を儲け、既得権益を享受していました。
ネッケルはこれを撤廃しようとしました。その結果貴族は猛反発します。貴族はネッケルのネガティブキャンペーンをし、「スイス人の銀行家がフランスを乗っ取ろうとしている」というパンフレットを使って市民を煽りました。
いつの時代もみんなやる事は同じですね。
そこでネッケルは何をしたか?なんとその当時の国の歳入と歳出の内訳を国民に見せる事にしました。今でこそ当たり前ですが、その当時はネッケルが初めて国家の歳入と歳出を公開したとも言われています。
これにより2億6千万リーブルの歳入の内、1000万リーブルが王家の支出だった事が判明します。ちなみにこの当時の国民の年収は100リーブルです。1000万リーブルは想像を絶する金額です。
その後ネッケルは政府に罷免されますが、国民の強い支持を受け復職します。しかしその後再度罷免されると国民は激怒し、あの有名なフランス革命が起こります。
エジプトもローマもフランスも真ん中で既得権益を享受していた人が腐り、破滅したって事です。
国の滅亡に見る企業がやってはいけない事
ここまで読んで国の滅亡が如何にパターン化しているかわかったと思います。そうなんです。失敗にはパターンがあって、再現性があるのです。この話を教訓にすると企業がしてはいけない事は主に以下です:
- 横領(会社の金の私物化)
- 一部の既得権益者が利益を享受する
- みんなが苦しい中一人だけ利益を享受する
残念ながら資本主義という社会では、会社はオーナーに属するため、会社の資産はオーナー(株主)のものです。そのオーナーが会社のお金をどう使うが従業員は文句を言える立場にはありません。
しかしだからと言って会社の私物化を進めると、破滅するわけです。特に中間管理職と呼ばれるような人がその職権を乱用し、過度な接待や出張に行く事は破滅への第一歩でしょう。
残念ながら日系企業の多くはこのガバナンスが全くと言って良いほどとれてません。コロナ前の台湾では展覧会がある度に日本人の社員が台湾へ赴き、キャバクラや風俗を経費で精算していた事を知っています。
シンガポールに駐在していた僕の友人は、その当時毎月意味なく役員がシンガポールに出張してオーチャードロードで弾けて会社の金を散財していたと言ってました。
また、日本企業は残念な事に儲けに対して従業員に支払う賃金の比率(労働分配率)がどんどん低くなってます。その結果内部留保は溜まりまくってます。
つまり、ガバナンスは破滅してきた国と同じでめちゃくちゃなのに貯金だけはアホみたいにあるから潰れることはなく、従業員も従順に飼い慣らされているので、何も改善していないということです。
戦略的な透明性確保
今回税制とお金の流れを勉強して、ネッケル氏の行動には強く惹かれたものがありました。同時に僕は僕自身が腐ることを防ぐため、僕は常にパートナーのエリックに色々報告しています。クレジットカードも彼が持っています(彼が横領を始めたらやばいですが😂)
また、今回の話を読んで、applemint でも歳出と歳入を改めて全社員が確認できるようにしようと思いました。元々社員には面談時に会社の情報が開示された Data Studio を見せてはいましたが、個々の KPI とかあったので改めて共通のものを作りました。
労働分配率も書いてます。僕が超高給になって労働分配率が悪化しようものならすぐにバレます。自分の戒めのためにも作りました。
ちなみに僕らは DX のプロなので、こうした見える化に興味がある方は applemint にいつでもご連絡ください。
以上、長文になりましたが applemint 佐藤よりお金の流れで見る企業の破滅の法則でした!