ハーバードMBA に学ぶ失敗の事例と僕の台湾での起業経験
こんにちは applemint 代表の佐藤です😎
以前からよく話していますが、僕は再現性の低い成功の話より失敗談に興味があります。そんな僕に最近舞い降りた本がこちらです:
念の為言っておきますが、このブログはこの本の PRでもアフィリエイトでもないですよ😆
この本ではいくつかの失敗例が出るわけですが、中でも「あーこれは確かに」と僕が自分の体験談に照らし合わせて思ったものをこのブログではご紹介したいと思います。
新規事業や起業を考えている人の役に立つと思います!
業界経験の不足と半々なリーダーシップ
まずご紹介したいのが、業界の経験が不足しているのにその業界で起業する事は失敗の確率が高くなりそうというお話と、中途半端な決定権の分散はどうやら良くなさそうというお話です。
その事例としてこの本の中では、女性用のフォーマルなスーツを作る某スタートアップが紹介されています。順にお話しします。
まず、業界経験の不足ですが、これは例えばラーメン経験がない人が今すぐラーメン屋を始めるのは失敗する確率が高いという事です。これは別に今から新しい事にチャレンジする人を否定したいという話ではありません。ただ、これから新しい事にチャレンジする人はその業界への理解や知識を急いでキャッチアップする必要があると思います。
この本で紹介された某アパレルスタートアップは二人の共同創業者がいましたが、二人ともアパレル業界の経験がありませんでした。少数の服を生産するだけであればデザイナーを雇い、服を外注して終わったかもしれませんが、量産するとなると話が変わります。
彼女達は服の生産に関する全体像が見えておらず、自分達の理想とする服を理想とする価格で提供するにはサプライチェーンから根本的に見直す必要性を後に理解します。
要するに彼女達は高い熱意とやる気はあったものの、服がどのように出来るかという理解が足りず、アパレル業界の人のツテもなかったため、結果的に非効率に服を作っていたという訳です。
出資に例えるとすごくわかりやすいのですが、例えばこれをご覧の読者さんが今から1000万円を誰かに出資するとします。出資先の候補者は二人いて、Aさんはラーメン屋で働いた経験があり、Bさんは経験がありません。恐らく多くの人はBさんの方に出資すると思います。
Aさんが画期的なアイデアを持っていて自分も実現させたければ、僕はもはや1000万円の回収を諦めて出資しますw
起業する時は、自分自身が未経験でも共同創業者の一人は起業する業界の知識を持っていた方がいいと思います。僕は幸いにも台湾で起業した際に業界の経験があり、台湾では何がボトルネックで、顧客はどんな問題を解決したいか幾分理解していました。
なので僕が出資をする場合、90%は業界の経験があるかないかは必ず見ると思います。
半々なリーダーシップ
某アパレルスタートアップは二人の共同創業者がいました。一応 CEO と COO という形でリーダーシップを分けていましたが、何か悩めば二人で決めてました。このリーダーシップに問題があったと筆者は語っています。
つまり、何かあった時に二人で話し合って妥協案みたいな解決策を出すと責任が曖昧になるという事です。よく日本人がやりそうな意思決定です。
某アパレルスタートアップは二人で決めた仲良しこよしの決定がことごとくうまくいかず、ついには意見が対立し、どっちが CEO かわからなくなり解散します。僕の経験上、スタートアップは最初のうちは、決定者は一人がいいと思います。その他のメンバーはその決定者の決定に同意できないなら離れればいいんです。
僕のクラスメイトで世界的に有名なビジネスコンペに優勝した4人のチーム(会社)も CEO はいたものの、皆我が強くて CEO が容易に何かを判断できる環境ではありませんでした。このチームも結局数年で解散を決めます。
僕ら applemint がここまでうまくやってこれている理由は僕がリーダーとして決定を下し、その決定に対して責任を持っているからだと思っています。
もちろん最初から僕のパートナーであるエリックがホイホイ僕の言う事を聞いていたという訳ではありません。初めはうまくいかなかったので彼も僕に対して疑心暗鬼だったと思いますが、業績が向上するに連れて、少しずつ変化が見えました。
僕はマネージャークラスを採用する際にこんな質問をします:「部下があなたを信頼せずに言う事を聞かなかったらどうしますか?」というのがあります。この時に「コミュニケーション」と答えるのはちょっと applemint の考えと違うかなーと考えています。
別に答えなんてありませんが、applemint では「結果にこだわる」人材を求めており、僕は信頼を得るための一番の近道は「結果」だと思っています。「結果的にやらない」、「結果的に成績が悪い」人はいくらコミュニケーションをしても中々部下に尊重されないと思っています。
成功の過信と擬陽性
擬陽性という言葉があります。人は信じたい事を信じて、黒でも白に塗り、白は黒に塗るみたいな事です。例えば最初に大きな成功を収めると、その成功を過信してしまうという事がスタートアップではよく起こるそうです。
世界へボカンの徳田代表は「海外に進出する日系企業はまず日本で成功した要因を一つ一つ分解する必要がある」と言っています。成功の要因を一つ一つ分解することで、何が具体的に成功に貢献したか見えます。
例えばある会社が新商品を出したときにその商品がたまたま売れて、創業者がその成功を過信したとします。この会社は台湾でも売れると思い、台湾に進出しますが、なかなか売れません。
成功要因を分解すると、実は成功の裏には「冬」、「コロナ特需」、など偶発的な要因があり、台湾では特に需要がないなんてことはあります。この本の中でもペットのデイケアサービスをスタートさせたスタートアップが最初の案件で成功し、その成功を過信して急ピッチで拡大を急いだ結果失敗に終わった事例が紹介されています。
この企業は自分達の最初の成功を疑わず、利益を急ぐ投資家に煽られてアメリカ各地に展開した結果、その他の地域では最初のようなニーズはなく、固定費がかさんで現金が無くなりました。
また、急ピッチでサービスを広げた結果、進出した新しい州ではマネージャーが不足し、品質管理や顧客対応が疎かになり、品質が低下しました。
applemint はどうか?
僕が今一番懸念しているのは擬陽性とスピードです。ある程度軌道に乗ったスタートアップなら誰しもが通るのがスピードです。この本の中ではスピードを上げるべきか否か迷ったら以下の事を意識した方がいいと書いてありました。
- Ready:実績のあるビジネスモデルや利益率は確保できているか?
- Able:人材へのアクセスとトレーニングのリソースはあるか?
- Willing:そもそもスピードアップしたいか?
- Impelled:競合の動向
applemint は短期間で急成長したいとは正直あまり考えていません。ただ、applemint にお問合せが来たらそれに対しては対応したいとは思っています。従って、現時点での課題は Able です。つまり人材へのアクセスとリソース確保です。
そこで applemint では定期的に応募が来るよう、まずは HR の人材を確保しました。僕は今後2023年の1月までに applemint に度々人材が応募に来るような仕組みを作りたいと思っています。
やり方はいつも通りコンテンツです。これが一番面倒ですが、一番の近道だと思っています。この結果はまたみなさんにご報告します!
以上 applemint 代表佐藤からハーバードMBA に学ぶ起業の失敗でした!ハーバードMBA生も失敗するんです😎