【ルーツよりも環境が行動を決める!?】台湾と中国で異なるマネージメント

みなさんこんにちは、applemint代表の佐藤です。

今日は「環境によって同じルーツを持つ人でも全く行動が変わるよねー」というお話をしたいと思います。

なぜこの話をするかというと、最近中国で9年間駐在していたという方に会いまして、同じ中華圏でも台湾と中国って働き方が全然違うなーってことを改めて気付かされたからです。

まー環境が違うので、働き方が違うのは当たり前っちゃ当たり前なんですけど、僕の予想を遥かに超えた違いがあったので話そうと思います。

とは言えですよ!正直、台湾、中国、香港あたりってなんか似てるんでしょ?って思っている日本人はかなり多いと思うんですよ!

なので、中国人に対するマネージメントも、台湾人に対するマネージメントも、香港人に対するマネージメントもなんだか同じようにして問題ないと思いがちなんですけど、実態は全然違いましたね…

今日はその一例として、中国と台湾の労働環境の違いを踏まえ、中国で会社を運営/経営していた駐在員がうまく中国で最適解を見つけた話をします。

同じ中華のルーツを持つのに

当たり前ですが、台湾と中国は労働環境が全然違います😅

具体的には解雇です。中国はきちんと退職金を払えば、基本いつでも解雇できるそうです🙃

なかなかシビアな世界ですね…

退職金は勤務年数によって変わるらしく、1年未満だと給与1ヶ月分、それ以上だと勤務年数に応じて数ヶ月分だそうです。

台湾はそういうわけにはいきません🙃

台湾の解雇規制は厳しく、基本的には犯罪を犯すとか、ハラスメント行為があったりしない限りは難しいです。

あと僕は台湾では外国人ですからね…恨みを買うような派手なアクションはなるべく起こしたくありません。

この辺台湾人は中々理解してないんですよね。

先日、ある会食で隣に座っていた台湾国安局の職員と「解雇」について少し話したんですけど、彼は「解雇なんて簡単だよ!」と言ってました。

「はいはい」って感じです🙃

僕は外国人として台湾で商売をさせてもらっている立場であって、んな簡単に台湾人を解雇できるわけねーだろ!って心の中で思ってました😅

台湾では基本的に誰かを解雇にする際は、自主退職を促し、退職金を積んで向こうが退職に同意する旨を署名するのが一般的です。

この辺は日本と似ているかなーって思います。

その結果、中国と台湾では従業員の働き方が全然違います。

あと、中国は一級都市と呼ばれる場所とそうでない場所では、これまた従業員の働き方や労働環境が変わってきます。

上海上級国民

上海には、「上海人か、それ以外か」という暗黙の区分が存在するそうです😱(ギャグではなく本当に)

上海戸籍を持つ人は上海市内に限って 住宅購入や医療、子どもの教育などの社会保障で有利です。

ところが、上海以外で育った人(外省人)は地元の保険や社会保障が適用され、上海に移住して働いても時として保険が適用されないケースが多々あるんだとか。

つまり、上海で病気やケガをしようものなら、保険が適用されないので、上海に移住してきた人は意地でも頑張るらしいのです。

もちろん彼らも可能なら地元で働きたいのですが、日本同様、中国でも仕事は大都市に集中するので、結局は上海に移住するんです。

そして、企業側も上海や中国のみんなが知っているような一級都市には人材が集まることを知っているので、日系企業を含め多くの会社が上海や大都市に拠点を置きます。

結果、ますます上海依存が強まっていきます。

さらに上海戸籍を持つ人には他にも特典があるようで、役所の人も相手が上海戸籍を持っているとわかると書類がスムーズに処理されるとかされないとか…

一方、上海戸籍を持っていないない人が役所へ行くと「上海語を喋れるようになってから来い」と言われるなど、露骨な差別を受けるケースもあるとかないとか😅

この歪んだ環境が「上海市民=上級国民」といった状況を生み出しています。

上海の労働環境とマネージメント

中国では解雇が簡単で、仕事は上海に集中し、さらに上海戸籍を持つものが優遇される──そんな環境がどう人々の労働に影響を及ぼすと思いますか?

まず、上海の外から来た労働者(外省人)は「解雇されたくない」と必死に頑張ります。
解雇が容易で、解雇されたら家はないですし、地元では次の就職先が見つかりにくいからです。

一方、上海市民は解雇されても家もあるし、地元の社会保障は手厚いので、待遇や労働環境に不満があると、すぐに転職をする傾向があるんだそうです(もちろん人次第ですよ!😅)

その結果として、上海市民は会社に対して強気な態度を取ることも少なくなかったと先日お会いした人は話していました。

あ、ただ最近は、中国経済が少し低迷していて就職先がないことから、上海市民も以前より我慢して働く傾向があるようです😅

そうすると会社側からすると、頑張る「非上海市民」で人材を固めたいところですが、現実には上海市民も採用することになります。

では、ジョブホッピングを繰り返し、会社に対して強気な態度を取りがちな上海市民に対してどのようなマネージメントが有効か?

先日お話した方は、会社内の先輩社員に外省人を起用し、新卒に上海人を起用するというマネージメントをしたらうまくいったそうです。

どうやら「先輩が頑張っているから自分も頑張らないと」という意識が芽生えたようです😳

いやー面白いですね。

要するに、上海市民は「上海」というマクロな環境下では鼻が高くなりがちですが、「会社」というミクロな環境次第で行動は大きく変わり得る、ということを示していると思います。

台湾と中国の労働環境の違い

上海の経営環境や労働環境が台湾とここまで違うとは知りませんでした。

イメージでは、「中国は労働者に優しい国なのかな」と思っていたのですが、実際は想像以上に厳しかったですね(あ、上海市民は上海内では少し例外かもしれませんが…)

また、中国にいた方から聞いて興味深かったのは、中国の人たち(上海の人も、それ以外から来た人も)は「上の言うことは絶対に聞く」傾向があったという点です。

これは中国の長いトップダウンの歴史が影響しているのか、それとも現代の環境がそうさせているのかはわかりません…

一方の台湾は、労働者が比較的守られていて強い国です。

実際、台湾では従業員が会社に対して不満を感じたら、労働局に電話するのは割と日常的に行われています😅

では、なぜ台湾はこれほど労働者が守られる環境になったのか?

僕は選挙の影響が大きいと思っています。
台湾では総統選をはじめ、立法院や市長、議員の選挙も投票率が高いです。
そうなると、政治家はマジョリティである労働者に有利な政策をマニフェストに掲げざるを得ません。

さらに与党も、解雇規制の緩和や労働者に不利な政策を少しでも打ち出すと、有権者から批判を浴び、次の選挙で敗れるリスクがあります。

これはあくまで僕の推測ですが、あながち間違ってはいないと思っています。

ミクロなレベルで環境は変えられる

今回、中国に9年在住していた方の話を伺いましたが、彼が「上級国民」と呼んでいた上海市民も、会社という労働環境次第でいくらでも変わるのだと知り、面白かったですね。

もし社内で特定の人材タイプが育つのであれば、それは会社自体がそうした環境を作り出しているとも言えるでしょう。

モンスター社員も、一部会社の影響があることは否定できません。

今のところ、appmintには幸いにも真面目で勤勉なスタッフが多くいます。
そして周囲の話を聞くと、台湾では「真面目に働いてくれること」自体が必ずしも当たり前ではないのだと気付かされます。

真面目な社員が集まっているから真面目になっているんじゃないかと思います。

ありがたい限りです。

今回のお話は、中国の労働環境をすでに知っている方には少し物足りなかったかもしれません🙇‍♀️

最後に、中国はある時期を境に一気にバブリーな雰囲気から質素モードに切り替わったそうです。

その「いつか」については具体的には言えませんが、なぜ僕が「言えない」のかがわかれば、きっといつか察しがつくと思います😆

以上、applemint代表の佐藤でした!