地政学から台湾の状況を理解する

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は、「地政学から台湾を理解する」というテーマでお話ししたいと思います。

最近、『あの国の本当の思惑を見抜く 地政学』という本を読み終えましたが、とても良い本でした。
個人的にかなりおすすめです。世界の流れや、これからの動きがなんとなく見えてきます。

この本を読むと、一見無謀に見えるさまざまな国の行動にも背景があることがわかってきます。

今回はこの本の内容を一部参考にしながら、台湾が置かれている立場について、地政学的な観点から、僕なりの考えを交えてお話ししたいと思います。

台湾を語る上で避けられないのが中国の存在ですが、その中国の動きも、地政学の視点から見ると「なるほど」と思える部分がたくさんあります。

今日は、そういった話を皆さんにお伝えできればと思います。

少し長くなるかもしれませんが、できる限りわかりやすく、コンパクトにまとめます!

価値観やイデオロギーより大事な国家存亡

中国は事あるごとに、「台湾は中国の一部である」と主張しています。

確かに、台湾と中国はルーツを辿れば、もともと同じ大陸にいた漢民族が統治したという歴史はあります。
ただ、それを言うなら、北朝鮮と韓国も同じルーツを持つ民族です。
「同じルーツだから同じ国であるべき」というのは、少し無理がある気がします。

だからこそ、多くの人が中国の強引な主張に対して違和感や疑問を抱くのだと思います。

また、中国・北朝鮮・ロシアが最近やけに仲が良さそうに見えることについても、「同じ共産主義的なイデオロギーを共有しているからだ」と表面的に理解してしまっている節がある気がします。

でも、「同じ価値観だから仲良くする」というのは、実際にはそれほど単純な話ではないです。

たとえば、僕は日本人で、「他人に迷惑をかけるな」という価値観を大事にしていますが、同じような価値観を持っている人を嫌うことだってあります😅

日本は海に囲まれていて、他国に侵略された経験が少ない国ですが、大陸に目を向けると、そこでは領土の奪い合いがずっと続いてきた歴史があります。

国家というのは、最終的には「存続すること」が最大の目的です。

だから、国と国が仲良くする・対立するというのは、必ずしも価値観の一致や不一致ではなく、それぞれの「生き残り戦略」に基づいた行動なのだと思います。

地政学を学ぶことで、そういった各国の背景や意図が少しずつ見えてきます。

中国は実は弱みだらけ

みなさんは、地政学の視点から見た中国の「弱点」をご存じですか?

地政学的に見たとき、中国が抱える主な弱点は以下の5つです:

1. すぐ近くにロシアがいる(過去にめっちゃ領土を奪われている)

2. すぐ近くに北朝鮮がいる(本当は支援したくないけど、支援せざるを得ない関係…中国は北朝鮮の“ヒモ”😁)

3. 経済的に東側への依存が高まりすぎた(しかも、その東側に緩衝国がない)

4. マラッカ海峡

5. 南シナ海の島々

それぞれ、少し説明しますね。

いまの中国とロシアは、一見とても仲が良さそうに見えるかもしれません。
でも実は、つい最近まで両国はかなりバチバチにやり合っていたんです。
だからこそ、今でもお互いに腹の探り合いをしているように思います。

日本人にとっては少し実感しづらいかもしれませんが、陸続きの国々って、どうしても争いの運命にあるみたいなんですよね。

中国はアヘン戦争のときに香港をイギリスに割譲したという話は有名ですが、実はロシアも過去100年ほどの間に、中国から多くの領土を奪ってきました。

たとえば、ウラジオストクももともとは中国の領土だった場所です。
さらにロシアは過去に、ウイグルやチベットの独立を支援して、中国との間に緩衝地帯を作ろうとしたこともありました。

1960年代には、満州をめぐって軍事衝突も起こっています。

こうした歴史的な背景をふまえると、僕は正直なところ、中国がロシアのことを本当には信頼していないと思っています。

中国は北朝鮮のヒモ…

中国と北朝鮮って、なんだかんだで仲が良い感じですよね?

実は中国は、北朝鮮に対して「エネルギーの90%」「食料の40%」を供給しています。ヒョエー。

じゃあ、なんで中国はここまで北朝鮮を支援するのか?

それは、北朝鮮が弱くなって崩壊すると、中国にとって都合の悪いことが起こる可能性が高いからです。

朝鮮戦争が始まったとき、中国は迷わず北朝鮮を支援しました。その理由は、アメリカが韓国側についたからです。

もし北朝鮮が韓国に敗れて、そのままアメリカの支配下に置かれたら?
北朝鮮と国境を接している中国としては、「アメリカの息がかかっている国と国境を接する」という、かなり緊張感のある状況になります。

また、北朝鮮が崩壊して、かつて中国の領土を奪いまくったロシアが北朝鮮をコントロールしたら…

つまり、中国が北朝鮮を支援するのは、北朝鮮という“場所”が中国の国家存亡にとって極めて重要だからなんです。

イデオロギーとかそういう問題ではないです。

北朝鮮って実は外交めっちゃうまくない?って思った話

残念ながら、北朝鮮の経済はいつまでも停滞したままで、今の北朝鮮と中国の関係は、例えるなら「ニートで仕事をしない子どもを養っている親」のような感じです😅

僕だったら、「ちゃんと働いてよ!」って言いたくなります。

実際、中国は北朝鮮に対して自国の市場を一部開放して経済的に自立するよう呼びかけていますが、北朝鮮はほとんど応じていません👊

それどころか、ミサイルのテストをたびたび行い、日本や周辺国を刺激しています。

こうした挑発により、日本や韓国が軍備を強化すれば、それだけ中国の近くに強い軍事力が集まることになるので、中国としては何のメリットもありません。

たとえば、以前韓国が北朝鮮の脅威に備えて、アメリカの迎撃ミサイル「THAAD(サード)」を配備しようとしたとき、中国が猛反発したのは、そのミサイルが中国にも照準を向けられる可能性があるからです。

北朝鮮は好き勝手に行動しながら中国からの支援を得つつ、もし中国が支援を止めれば、今度はロシアとの協力を匂わせたり、またミサイル実験を使って中国からの支援を引き出したりと、実はめちゃくちゃ外交上手なことがわかりました😳

中国と北朝鮮のやり取りを再現するとこんな感じです:

パパ(中国):頼むからミサイル実験やめてくれよ!これ以上、韓国と日本を刺激しないでくれ…

子ども(北朝鮮):うん、わかったよ。やめるから、もっと支援して。

パパ(中国):ほら、これおこづかい。今月はこれで勘弁して。

数日後、ミサイル実験🚀🚀

パパ(中国):だからやめろって言っただろ!支援やめるぞ!

子ども(北朝鮮):ごめんなさい。じゃーロシアから支援してもらう。

パパ(中国):….もうー、わかったよ。パパがお金あげるから、ミサイルはほどほどにして。

😆😆😆😆

僕の勝手な想像ですが、ミサイル実験をするたびに、中国から支援を引き出しているのかもしれません。

マラッカ海峡を抑えられたら、やばい中国

マラッカ海峡はインドネシアとマレーシアにある海峡です。

中国の総貿易量の60%と、天然ガスの70%が通るのが、マラッカ海峡です。
つまり、ここが封鎖されると中国は相当やばいということです。

そして現時点で、マレーシアやシンガポールはややアメリカ寄りの姿勢をとっています。

もし何かが起こってこの海峡が封鎖された場合、中国経済には大きなダメージが出る可能性があります。

そこで中国は、「マラッカ海峡を通る前に荷揚げしてしまおう」と考え、インド洋周辺の国々との連携を強化し始めました。

具体的には:

  • パキスタン(グワダール港)
  • スリランカ(ハンバントタ港)
  • バングラデシュ(チッタゴン港)
  • ミャンマー(シットウェ港)

などが挙げられます。

そういえば、スリランカの港が「ほぼ中国の所有物になった」みたいなニュースを聞いたことがあるかもしれませんが、
その背景には、このマラッカ海峡のジレンマがあったというわけです。

南シナ海問題を起こす中国の焦りと他国の無関心

中国は毛沢東時代、「三線建設」という防衛計画を持っていました。
これは中国大陸を第一線、第二線、第三線に分けて、第一線が突破されたら第二線へ後退し、さらに第二線が突破されたら第三線まで下がるという作戦です。

第一線は東の沿岸部、第三線には内陸の成都や重慶が含まれています。

昔は沿岸部の重要性はそれほど高くなかったのですが、今は完全に逆です。今の中国はもし沿岸部がやられたら、大きなダメージを受けます。

そして残念ながら、沿岸部の付近には“クッション”となるような国や島がほとんど存在しません。
つまり、アメリカと同盟を結んでいる韓国や日本が常に中国の太平洋進出や台湾有事に対して睨みを利かせている状況です。

そこで中国としては、南シナ海にある島々に軍事拠点を構築し、日本や韓国、フィリピンなどとの衝突に備えたいわけです。

中国が南シナ海の西沙諸島や南沙諸島を実効支配し、尖閣諸島に対して圧力をかけるのも、すべて「万が一に備えてクッションを設けたい」という観点からです。

ただし、こうした島々は陸地が狭く、滑走路も限られていて、人が住むのに適していないため、たとえ支配しても影響力には限界があります。
そのため、実効支配されていても、他国がそこまで強く反発していないという一面もあります。

また、中国が空母にこだわる理由も、まさにこの「南シナ海に拠点がない」という地理的な事情から来ています。

ちなみに尖閣諸島はかなり重要で、ここが中国に抑えられたら、水深1000m ある宮古海峡潜水艦を使ってを通過し、アメリカの監視を掻い潜って太平洋に出れます。

では、もし台湾という十分な陸地があって、十分な軍隊を配置できる場所を実効支配できたらどうなるのか…

中国が台湾を支配したい地政学的な理由

ズバリ、中国が台湾を支配したい一番の理由は、台湾が地政学的に非常に重要な場所にあるからです。

もし台湾を支配できれば、中国は他国の監視を掻い潜って太平洋に出ることができます

たとえば、台湾と沖縄の間にある宮古海峡は水深1,000mあり、台湾南部のバシー海峡に至っては浅いところでも1,800mあります。

さらに、バシー海峡には潮の流れが早い黒潮が流れており、ソナーによる潜水艦探知が極めて困難になります。

つまり、中国が台湾を支配し、そこから潜水艦をバシー海峡経由で太平洋に出せば、空からの探知や迎撃は非常に難しくなるわけです。

台湾という場所は、中国にとって「太平洋へ出るための出入口」であり、また「太平洋からの不測の事態に備えるための防波堤」ってことです。

表向きには「同胞だから助けたい」といった主張をしていますが、僕はこの地政学的な戦略価値の方がよほど大きいと感じています。

いかがでしたか?

ちなみに、僕が読んだ本の中では台湾有事のシミュレーションについても紹介されていました。

それによると、中国が台湾に攻め込み、それに対して日本とアメリカが参戦します。

その結果、中国の侵攻は失敗するものの、中国・アメリカ・日本の3国に甚大な損害が発生します。
特にアメリカは復興に10年以上かかる損害を受け、その間にロシアや他の国が台頭してくる可能性があると指摘されていました。

歴史を振り返ると、国というのは常に「緩衝国」を求めて他国を侵略してきた背景があります。

もちろん、そうした未来は見たくないですが、歴史が繰り返されないことを祈りつつ、各国が外交を通じて安全保障のジレンマをうまく調整してくれることを願うばかりです。

以上、長文になりましたが、applemint代表の佐藤からでした!