並行輸入と転売天国な台湾の実態と最近台湾で流行りなプロモーション

みなさんこんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は、台湾における並行輸入や転売の実態についてお話ししたいと思います。
最近、日本でも「転売」に対する対策が強化されているという話をよく聞きますよね。
たとえば任天堂では、ゲームのプレイ時間が一定以上のユーザーに限定して抽選販売を行うなど、ファンを優先する仕組みを導入しています。
台湾でも、転売対策としてさまざまな取り組みが行われています。
たとえば 宇多田ヒカルさんのコンサートでは、実名登録が必要でした。
また、購入方法も「早い者勝ち」ではなく、抽選制で当選した人だけがチケットを買える仕組みだったそうです(とはいえ、ほとんどの人が落選したとか…😅)
このように、日本でも台湾でも転売対策が進んではいますが、現実には完全に防ぐのは難しいというのが正直なところでしょう。
というわけで今日は、台湾で実際に起きている、厄介な並行輸入のケースと流行っているプロモーションについてお話をします。
並行輸入OKな台湾

台湾でも日本でも、並行輸入は基本的に合法とされています。
ただし、日本の場合は商標権の侵害がないことが条件です。
一方で、台湾はそのあたりの規制がやや緩い感じです。
念のため、並行輸入について簡単に説明しておきますね。
並行輸入とは、メーカーの正規代理店を通さずに、第三者が海外から商品を直接輸入して販売する行為のことです。
たとえば、あるブランドAが台湾に支社を持っている場合、そのブランドの商品を台湾へ輸入する手続きは通常、台湾支社が担います。
このように、ブランドA自身が自社製品を台湾に輸入して販売する場合は「正規輸入」となります。
しかし、ブランドAの商品を台湾に輸入するのは、必ずしもブランドA自身だけとは限りません。
第三者が日本で商品を買い付けて台湾に持ち込み、販売するケースもあります。これが「並行輸入」ですね。
もちろん、この場合の商品は偽物ではなく、本物です。
このように、第三者が正規品を販売してくれているという点では、並行輸入は別にメーカーにとっても悪い話ではないです。
ただ、IP(知的財産)や肖像権・商標権などの権利が絡むとちょっと複雑です。
あるクライアントが日系スーパーで見た光景

先日、うちの某クライアントが自社商品が並行輸入されているのを発見しました。
それ自体はまあ仕方のないことなんですが、問題は、その商品が日本でしか使用が許可されていないキャラクターの写真が使われているパッケージだったことです。
通常台湾で使用する場合は、キャラクター元に別途ライセンスを払う必要があります。
キャラクター(IP)は非常に厳しく管理されていて、有名なIPになってくると、各国でライセンスを管理している企業が異なります。
たとえば、ハローキティで有名なサンリオは、台湾ではサンリオ台湾が自らしっかりと管理しています。
ずいぶん前の話ですが、うちのクライアントがホワイトボードにキティちゃんに似たイラストを描いていたんですけど、それに気づいたサンリオ台湾のスタッフが、消すように指示してきたことがあったそうです。
いやーすごいですよね👏👏
店内に書いていたキティちゃんもどきのイラストですよ…🤨
それくらい、彼らは至るところに目を光らせているってわけです。
台湾におけるアニメキャラクターのライセンス管理
また、日本のアニメに関しては、台湾では現地企業が一括でライセンス管理をしているケースが多いです。
たとえば、『名探偵コナン』は「曼迪傳播股份有限公司」という台湾の企業が管理しています。
そのため、日本の名探偵コナンの商品を勝手に台湾で販売することはできません。
必ずこの会社の許可が必要になります。
では、もしも台湾にキャラクターを管理する会社や担当者が存在しなかったらどうなるか??
その場合、あちこちで並行輸入品が氾濫する可能性があります😱
実際、僕らのクライアントは、現在従業員が10名以下の規模で、こうした並行輸入業者を一つひとつ監視することは到底できません。
また商品に掲載されているキャラクターを管理する会社は、現時点で台湾にいません😱
その結果、台湾では使用が許可されていないキャラクターの使用が横行したというわけです。
どうやら、L○piaやド○キホ○テといった、誰もが知る日系の大手小売店に、日本のパッケージそのままの商品が陳列されていたのを、代表者の方が見つけてしまいました…
誤解しちゃいけないのが、小売店側に悪意があったわけではないことです。
彼らは商標の存在に気づかず、メーカーではない第三者が日本から輸入した商品を普通に仕入れて販売していただけでした。
しかし、今回のようにメーカーの台湾代表者が気づいた場合、もう販売はできないでしょう。
代表者の方は、
「もしキャラクターのライセンス管理会社が台湾での販売を知って罰金を求めてきたら、その責任はすべてあなたに負ってもらいますよ」という内容の警告文を、弁護士を通して送付したそうです。
ただ、台湾ではこんなことは日常茶飯事です…
おまけ:ライブコマースの最前線

先日、ある質屋のクライアントと話をした際に、興味深いプロモーションの話を聞いたので共有します。
ズバリ、ブランドのライブコマースです。
通常、中古ブランド品の販売方法といえば、どこかのECサイトに出品するか、自社ECで販売するか、あるいは店舗で販売するかのいずれかが主流です。
でも、東南アジアや中国では「ライブコマース」が主流になりつつあります。
実は台湾でも、このライブコマースの波がじわじわと来ています。
台湾でライブコマースが中国ほど流行らない理由は、InstagramやFacebookに「ライブ配信から直接購入できる導線がない」ことだと、思っています。
まーライブ画面をクリックして、さらにクレジットカード情報を入力してって面倒ですしね。
それでも、「ライブ配信を通じて購入したい」と思っている人は一定数います。
そんな中、日本や東南アジアの質屋がライブコマースを始めてイケイケです⤴️⤴️
それは、KOC(Key Opinion Consumer:フォロワー数1〜2万人程度の人)に、自社のアカウントでライブ配信をしてもらい、そこから商品が売れたら、質屋側が 5%程度のコミッションを支払うというモデルです。
この仕組みの良いところは、質屋とKOCの双方にとって “win-win” であることです。
KOCにとっては、高額なブランド品が1つでも売れれば、効率よく稼ぐことができます。
例えば、10万元の商品を1つ売れば、5%のコミッションで5,000NTDの報酬です。
仮に1時間の配信で6個売れれば…. 30,000NTDの収入です(ヒョエー)🤩🤩
1時間で15万円稼ぐってやばいですね…でも全然あり得るらしいです。
一方、質屋としても、他のECサイトで販売すればどっちにしろ5%程度の販売手数料がかかるので、これをしても手数料の支払い先がKOCに変わるだけです。
さらに、ECサイトの場合は、出品できるだけで集客のお手伝いは誰もしてくれません。
その一方で、KOCにお願いすれば、5%の中にプロモーション効果も含まれており、ライブ配信の動画のアーカイブ権の交渉ができれば、動画素材としても活用できます。
ちなみにここで重要なのは、「有名インフルエンサー」ではなく、「フォロワー数1万人程度のKOC」にお願いすることです。
というのも、有名インフルエンサーに依頼すると、そもそもライブ配信にお金がかかりますからね…😅
KOCであれば、彼ら/彼女達はまだまだマネタイズ出来るレベルにないので、成果報酬型でも積極的に動いてくれます。
実際、この手法でフィリピンでは急成長している質屋があり、僕がその会社のFacebookを見た時も、必ず誰かがライブ配信をしていました。
KOCの数が増えれば増えるほど、ほぼ24時間体制で販促が可能になります。
いやー、これは本当にうまくできた仕組みだなと感心しました。
以上、applemint代表・佐藤からのシェアでした!