台湾で失敗する企業の致命的な2つの共通点

こんにちは、applemint 代表の佐藤です😎

applemint は幸いにも6年目に突入しました。この前改めて applemint の顧客1社あたりの LTV を調べていたら、なんと今までにお手伝いしたことのある会社の数が、 50 社以上あることがわかりました😲

本当にありがたい限りです。

あ、5年目の話は以下のブログで書いてます!サクッと読めるので是非ご覧ください!ただ、今も applemint が50社を引き受けているかというと、そんな事はなく、日本へ戻った企業もいますし、うちから離れて他へ行った企業もいます。

leo

台北の世界は狭いので、うちを離れたお客さんの状況もよく聞きます😂

うちを離れる顧客の多くは「うちが悪いから結果が悪い」と、仮説を立てて離れます。その他にうちの対応や態度が嫌だから離れるケースも当然あるでしょう。

その辺は僕らの実力不足ですし、applemint から離れた事実を謙虚に受け止め改善に努めます。

しかしながら、広告代理店を変えれば台湾でうまくいくほど、台湾市場は単純でなかったりします….

以前から僕は、度々台湾でうまくいってない企業の共通点はお話していますが、今日はその情報を更にアップグレードしようと思います。

失敗1. デザインとコミュニケーションを内製化

いい商品/いいサービスを持っているのに売れない事はよくあります。もどかしい限りです。僕はコミュニケーションが、問題だと思っています。コミュニケーションは専門性がいる仕事です。

かっこよくて、優しいけれど、口下手で愛想が悪い人ってなんかモテなさそうですよね?そんな感じです(ちょっと例えが悪い…)

applemint では僕が口を酸っぱくしてスタッフに、「目的は何か?」、「その目的を一番効率よく達成するためにメッセージを伝える相手は誰か?」、「その相手に何を伝えるか?」と話しています。

台湾にいる多くの日系企業はこの一連の作業を理解せず、コミュニケーションを自分達で行おうとします。例えば、除湿能力が非常に高くて、質のいい除湿器を売る企業があったとします。

この企業が広告文やコミュニケーションを考えると、「除湿能力No.1」、「ISO〇〇認定」、とか書きます。でもこの除湿能力No.1 は誰のための No.1 でしょうか?

ターゲットを明確化しないコミュニケーションは誰にも刺さりません。僕だったら、まずはニッチなターゲティングをします。ここでは仮に台湾の基隆に住む人をターゲットとしましょう。

基隆は364日中、300日ぐらい雨が降るような場所で、常に除湿機をオンにしないと、たちまちなんでもカビるような場所です。

「基隆に住む人」というざっくりしたターゲットが決まれば、次はどんなコミュニケーションをすれば基隆の人に伝わって、購入に繋がるか考えます。

例えば今回の例だと、多くの基隆の家庭では、1家で2台ぐらい除湿機をつけっぱなしにしているので、「除湿機No.1」と書くよりも、「1台で2台分の除湿力」と書く方が具体性があります。

また、基隆に住む方は、台北の会社に勤務しているけれど、台北の不動産が高すぎて基隆に住んでいる場合が多いです。つまり、彼らは「お金」に対してセンシティブなペルソナも浮かんできます。

そこで、「1台で2台分の除湿力、なのに1台分の電気代」と書くのもいいでしょう。

leo

僕らのターゲティングは実在するどなたかをベースにする事が多いです。

うちの某お客さんはデジタルマーケの一部を内製化し、その媒体のコミュニケーション及びデザインを自分達でし始めた結果、低いクリック率と低い購入率に悩まされています。

日本の成功体験を忘れられない

今から2-3年前、台湾市場から某日系通販企業が撤退しました。日本人の方なら名前を聞けば一発でわかる、有名な通販企業です。この企業の担当者が、口癖で話していたのが、「日本ならうち有名なんですけどね〜」です。

興味深いのが、台湾を撤退した企業の責任者の多くが、同じ事を言ってる事です。彼らの口癖は、「日本なら〜」です:

「日本なら年商〇〇億円」、「日本なら認知度がある」、「日本なら有名」などなど。

しかし、そんな彼らも台湾では結構無名です。本当です。

Dragon Ash でさえ、2000人の箱でライブ

せっかくなので、日系企業の「日本なら有名なんだけど、台湾では無名に等しい」という話を、音楽アーティストの実例を用いて、お話ししましょう。

Dragon Ash はみなさんご存知ですよね?日本なら誰しもが知っているアーティストです。台湾でもそれなりに知名度があるアーティストです。Dragon Ash が初めて台湾でライブをした時、会場として選んだのは Legacy です。

Legacy は華山にある、キャパ2000人規模のライブ会場です。何が言いたいかというと、彼らはフルで集客可能な “現実的” なライブ会場を選んだという事です。

現在世界的に有名な Black Pink の台湾初ライブはどこか知ってますか?台灣大學體育館です。台北アリーナではありません。あの Black Pink がですよ!

昔ブッダブランドという日本ではレジェンド扱いされているヒップホップグループが台湾に来た時、音楽関係者と知り合う機会があり、音楽関係者から「〇〇の初台湾公演はコケた」と聞きました。

この〇〇は、日本でヒップホップを聞いている人なら誰でも知っているグループです。アーティストのように日頃から積極的にSNSで発信をして、SNS のフォロワーも万単位、尚且つ YouTubeでもバンバン動画がアップされている音楽アーティストでさえ、台湾でこんな感じです。

みんな最初は無名から、でも無名から有名になった過程を教える人はいない

日本なら有名な多くの企業も、日本で事業を始めたばかりの頃は無名から始まってます。残念ながら無名から有名になるまでのプロセスが社員に共有されていないと、台湾の責任者はあたかも自分達は初めから有名という錯覚に陥ります。

日本なら有名な会社や、日本なら年商〇〇億円の企業は、必ずと言っていいほど、どこかのタイミングで日本でテレビの取材を受けています。

重要なのは、彼らがなぜテレビの取材を受ける事が出来たのか?です。日本での成功体験や、日本で認知度が上がったプロセスを一つ一つ因数分解して、台湾でそれを当てはめないと、台湾での成功はあり得ません。

日本で有名だから、いつかは台湾人にも気づいてもらえるという受け身な姿勢は、あまりうまくいかない事は歴史が証明しています。

むしろ、これだけ日本の飲食店が進出していて、これだけ日本のサービスが浸透している台湾で、そんな受け身の姿勢だと、その他の国で同じ姿勢の場合もっと悲惨な事になるでしょう。

日本の成功体験は一度因数分解し、どんな要素が成功につながったか仮説を立てて、それが台湾でも再現が可能か考えてみる事をお勧めします。

以上 applemint 代表佐藤からでした。